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🌀👕梅雨の晴れ間編☔お洗濯がたためない!!⑪
「はい、エコバッグ。買い物行ってきて」
「ありがとう……」
一瞬、藍色の瞳が突き刺したけど……気のせいだよね?
「この家は、君と私の愛の巣だよ」
「え……あ、うん。そうだね」
愛の巣……って。
(死語だな)
ハルオミさんだから触れないでおこう……
「愛の巣から、私を追い出したがってるように感じるのは気のせいかな」
「気のせいだ!」
「そうか」
「気のせい、気のせい!」
「では、君」
「なに?ハルオミさん」
「この洗濯物の山はなんだろう」
「ギャ」
「なぜ叫ぶ?」
「叫んでないよ。気のせいだよ、ハルオミさん」
「そうか。気のせいか。それで、この洗濯物の山は……」
「洗濯を取り込んだんだよ」
「見れば分かるよ。しかし、どうして私の洗濯物だけ散らかっているのだろう」
「………」
「………」
「たまたまだよ」
「そうか。たまたま、か……」
「うん。たまたま」
「驚いたよ。これが世に言う倦怠期というやつかと思ってしまったよ」
「倦怠期!そんなものが俺達にあるわけないじゃないか!」
「そうさ!私達は生涯現役・ラブラブ夫婦さ!」
……ハルオミさんが言うと、やらしいです。
「じゃあ君。私の洗濯物もたたんでくれるね」
「もちろん……だ」
手が震えた。
(これは……)
ハルオミさんが手渡してきたのは、よりにもよって。
(俺を苦しめてきた、テランテラン・ピッチピチ)
「黒ブーメランじゃないかァァッ!」
「私の愛用品だ」
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