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遥と叶多
遥と俺は正反対。
遥は明るい性格、クラスに一人は居るムードメーカーの人気者。健康的に焼けた肌に、人懐こい笑顔が金に近い茶髪に似合ってる。背もそこそこ高いしスタイルもいい。スポーツも出来るし、頭もまあ悪くない。言うまでもなく、校内ヒエラルキーの最上位者。
黒縁メガネで黒髪で生っ白くて貧相で無口で勉強しか能のない俺は底辺下層ですありがとうございました。
でも違う。本当は、違うんだ。
「困ったもんだよな、ハルにも」
「サク…」
教室に入ろうとした俺は、後ろからの声に振り返った。長身の男子が苦笑しながらやって来る。
彼は滝山佐久 。アダ名はそのまんまサク。俺たち兄弟の小学校からの友人だ。幼馴染みと言って良いと思う。サクは、自分のこめかみの辺りを指差した。
「それ、相変わらずダテなんだろ?」
眼鏡の事だ。「ああ」と、すぐに俺は頷く。サクは嘆息した。
「…俺は昔のお前が好きだけどな」
俺もだよ、サク。
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