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キス魔
不本意ながら、色々と敗北した俺は勉強を教え始めた。
と言っても、遥は本来バカじゃないので理解も早い。だったら始めっから授業ちゃんと聞いとけ。
「あ…オイ、遥」
ふと気付いて傍の顔に声をかける。
頭を上げた遥の唇は、やっぱり少し切れていた。血も滲んでいる。指摘すると端正な顔は「あー」と自分の指で触り確認した。
「待ってろ、今ティッシュ持って、」
そう立ち上がりかけた俺の手首が捕まれる。
「え」とそっちに視線を移すと、遥がニッコリと笑って血の付着した指を差し出して来た。…嫌な予感。
「舐めてよ、叶多」
パードゥン?
思わず脳内がイングリッシュになる。そのくらい意味不明だった。
なにコイツ。なに言ってんだ?
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