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キス魔

ポカンとする俺に、遥は「ね、ホラ」と更に突き出してくる。 ね、ホラじゃねーよ…って、うう血が…血の匂いが。ブンブンと俺は首を横に振る。 「嫌だよ、どうしてそんなこ」 「叶多のせいじゃん?」 カブせられた遥の言葉に、「へ?」と俺は益々混乱する。俺のせい?え…何で?何かしたっけ俺? 素直に眉をひそめると、「だってさ」と遥は飄々と続ける。 「俺、唇とか滅多に切れねーもん。さっき叶多にキスしたのが原因だろ。だから責任とれよ」 ………は? え、と、つまり遥は俺にキスしたから切れましたって?言いたいの? いやいやいや俺の唇は別に凶器じゃないし刃物とか仕込んでないし。どうしてそんな結論になる。 「…そんなに嫌だったら、口の方にしよっか?」 フリーズしてる俺に焦れたのか、遥はもっと難易度の高い提案をして来た。 絶対嫌だ。何が悲しくて双子の兄貴の唇を舐めなきゃなんないんだ。救いのない二択に俺は絶望する。

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