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サク
「遥の地雷を踏みまみた」
「うわ、マジ?」
「…いや、うん。ツッコんでくれなくて良いんだけどスルーも辛いよサク…」
翌日の昼休み。俺とサクは屋上で一緒に飯を食っていた。
噛んだ俺は逆ギレみたいなことをボヤきコンビニ弁当をつつく。「ごめんごめん、噛みまみたなあ」とサクは頭をくしゃくしゃと撫でてきた。サクは小さい弟が居るから手慣れたもんだ。…って俺同級生だろが!
「ちょっと内容に驚いてさ。久々じゃねえ?」
心中で男のプライドが傷付いたのをノリツッコミでカバーする一人で忙しい俺をヨソに、サクが軌道修正をする。
しっかり者の彼に感謝しながら当事者の俺は「うん」と答えた。
サクは俺の一連の過程を知っている。もちろん遥の切り替わりの性格の事も。
早々に俺を諦めた友達の中で、唯一サクはずっと心配して構ってくれた。
内情を知った時、温厚な彼は烈火の如く遥に対して怒った。遥が怖くて、怒鳴り込みに行こうとするのを何とか宥めて止めたけど。その思い出と、今も俺を見捨てないでいてくれるサクが癒しだ。
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