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サク
「疑うワケじゃねーけどさ…ハルの奴そんなに雰囲気変わんのか?」
そりゃあもう。俺はコクコクコクと凄い勢いで訴える。
遥の極寒に遭遇しているのは今んとこ俺だけっぽい。だけど、その俺も未だに信じらんなくなる時があるんだ。だからサクの疑問も無理もない。そのくらい、普段の遥は非の打ち所が無い。
俺の様子に、「そっか」とサクは肩を落とす。
「…やっぱ俺がハルと話すか?」
「!いいよっそれはホントにいいから!」
サクの申し出を俺はソッコーで断った。遥は多分、サクが全部知ってるのを知らない。遥は口が達者だから、素直なサクはきっと適当に誤魔化されて終わる。
そして、俺は何をされるか分からない。体が芯から冷えて震えた。どうしてこんなに怖いのか分かんないけど、怖いもんは怖いから仕方ない。
だけど、サクの前でそうなるのはマズかったらしい。こいつは優しいんだ。俺の脅えようにビックリしたサクは「おい叶多?どうした?」と気遣ってくる。
お前ホントいい奴だな。「ごめん平気」とヘラッと笑ってみせた。
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