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温度差
チクリ。
きっとサクと飯食いたい奴多いんだろうな、男子にも女子にも人気だし。
そう思った瞬間、俺の胸の奥が痛んだ。トゲが刺さったみたいな小さなものだったけど、確かに感じて俺はクエスチョンマークを頭に浮かべる。何だ今の?と胸をさすってみた。
「自分のムネ触っちゃって、叶多やーらし~」
しかしその時、耳元で突然囁かれた俺は「うわっ」と仰天した。弾みでスマホが床に落ち、慌てて拾い上げる。
良かった、どこも割れてない。異常なしの画面を見て安堵した俺は、背後を振り返ってキッと睨む。またもマイルームに無断侵入しやがった遥は「ごっめーん」とヘラヘラ詫びた。むかつく。それで許されるのは女子だけだ。
「だって叶多オナってんのかなって思って」
『だって』の意味が分からん。語尾にハートか星か音符を付けてそうな口調にイラッとする。
つーか……ん?遥の発言内容をしっかり認識した俺は、また手の中の機器を落としそうになった。
お、オナって……
「『自慰』だよ、優等生のカナちゃ~ん」
またも語尾に何か引っ提げて遥はニコニコと宣う。
顔だけなら天使なのに悪魔だ。サタンがいる。ここで何で機嫌最高潮なんだよ。
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