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温度差

「あー、だめだめカナ。噛んじゃ」 「傷できたらキス心地が悪くなんだろ」と、遥はオレの唇に暇な方の指を這わせた。 背筋がゾクッとして俺は反射的に口を離す。ここも性感帯なんだと愕然とした。そこを遥は、弄ってる。 「はる、か…やめろ、俺…オナってたんじゃな…」 変な声にならないように、俺は慎重に口を開く。 でも「カナが下ネタ言うのイイね」とズレた感想を述べられ、しごく手を強められる。「ふわッ」と無意識に叫んだ。 「…じゃ、何してたんだよ?最近よくスマホ見てるっぽいけど」 熱くなっていた空気が冷える。「なあ叶多?」と茶色がかった遥の目が俺を鋭く見た。 射抜かれるようなその視線に瞠目する。 ―――あの目だ。 なんで?一体どこで地雷踏んだ?恐怖で俺の呼吸が浅く早くなる。 駄目だ。よく分かんないけど、友達だけど、きっとサクの事は絶対に言っちゃ駄目だ。

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