22 / 74
自覚
「滝山ァ~!何だお前、彼女連れか!ナマイキな!」
丁度その時、野太い声が遠くから飛んできた。ナイスタイミング。
名指しされたサクが顔を横に向ける。ひとまず良かった、と胸を撫で下ろし俺もそっちを見た。
四十代くらいの背の低いオジサンが駆けてくる。グッジョブ見知らぬオジサン。
でもサクはアチャーって顔をして、それにキョトンとする俺に「リトルリーグん時の監督」と教えてくれた。そっか、サクは小学生の頃からずっと野球部だ。
ん?ふと俺は反芻する。
今何つった?オッサン。
「監督、こいつ男っすから…」
俺のおこオーラを察したサクが、到着したオッサンに伝える。
「えっ!?」とオッサンは隠さずギョッとしてコッチを見た。だから俺も遠慮なく無愛想に、でも会釈はする。サクが世話になった人だし。
だけど遥じゃねーけど、テンションだだ下がり。そりゃガキの時はよく間違われてたし今は私服だけど、もう高1の立派な男子だってのに。アソコはミニマムだけどな!クソッ!
ともだちにシェアしよう!