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自覚

「お前目ぇでけえし黒目がちなのが子犬っぽいじゃん」 …そうだ。そういやサクは犬好きだった。 でもな、そんな思ってんのは残念ながらお前だけだサク。俺から見ても遥の方が断然犬顔だ。念のため眼科にも行っとけ。な? 「可愛いって」 だけど、めげないサクに俺は困った。 なんか、体中がムズムズして擽ったい。柔らかな笑顔のサクと、わしわしっと頭を撫でてくる大きな手にキュッと心が締めつけられる。胸がいっぱいになる。 何だろ。何か……すごく泣きてえ。 ――ああ、そういう事か… 俺はその時、理解した。 理解したら、すとんって苦労もなく納得した。相手は男なのに幼友達なのに、とか全く思わなかった。風邪なんかじゃ無かった。 俺はサクが、好きなんだ。

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