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決意

夕方。 途中まで送ってくれたサクと別れてから、俺は近くの公園に寄った。 しっかりと自分の気持ちを整理したかった。それは否応なく、兄貴も絡んでくる事だから。 子供も大人も誰も居ないそこで、随分低くなったブランコに座ってみる。ここは昔、遥と遊んだ懐かしい場所だ。 「いつから、こうなっちゃったんだろ…」 昔と今の落差を考えてポツッと呟く。それはシンとした夕焼けの空気の中に溶けていった。 小さい頃の遥は凄く優しかった。正義感も強くて、憧れのヒーローみたいだった。大好きだった。 だから近い将来、怖い対象になるなんて夢にも思わなかった。チェーンを握る手がカタカタと震え出す。 でも、それを嘆いても仕方ないんだ。 遥のもう一つの性格を知ってから調べた。多重人格は、辛い体験に耐えきれなかった心が作った防衛本能なんだって。 だからハッキリした二重人格なのかは分からないけど、きっと遥の身にも何かキツい事が起きたんだ。心を守んなきゃなんないほどに。俺は目を瞑る。 ――誰かに相談して欲しかったよ…遥。どうして一人で抱えちゃったんだ… 自分でもビックリだけど、正直なとこ俺は遥を恨んでない。好き勝手にされてはいるけども、そう思える程度には俺は遥に情がある。 兄弟なんだし双子の片割れなんだし、たぶん心に深い傷を負って疲れた遥のワガママに出来るだけ応えてやりたいと思う。 ――でも… 俺は静かに、目を開けた。

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