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決意
「げ」
帰宅してドアを開けた俺は青ざめる。俺同様、遊びに出掛けたはずの遥の靴が玄関にあったからだ。
いつも帰るのは夜遅いのに、と俺は急いでリュックから眼鏡を出し装着する。持参してた俺エライ。憂いなかった!
いやいや自画自賛ってる場合じゃない。遥は自分の在宅中に俺が居ないと拗ねる。今日、遥が外出するってんで俺も安心して草野球観戦に行けたんだ。
……これは、マズい。すでに我が家は極寒地獄と化しているかもしれない。おそるおそる俺はリビングに入る。
すると。
「おっかえりぃ~叶多!」
そこに居たのは、にっこにこの遥だった。こっちに気付くと突撃するようにハグしてくる。
俺は目をぱちくりさせた。
――へ?ま、まさか遥…機嫌なおった?
ここ数日の暗黒期なんて幻だったみたいに遥は超イイ笑顔だ。振り回された俺は脱力する。
もー何なんだよマジで…サクにもまた迷惑かけたばかりだっつのに。『カナ』呼びじゃないけど、遥がめちゃくちゃゴキゲンなのは一目瞭然だった。
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