26 / 74

決意

「げ」 帰宅してドアを開けた俺は青ざめる。俺同様、遊びに出掛けたはずの遥の靴が玄関にあったからだ。 いつも帰るのは夜遅いのに、と俺は急いでリュックから眼鏡を出し装着する。持参してた俺エライ。憂いなかった! いやいや自画自賛ってる場合じゃない。遥は自分の在宅中に俺が居ないと拗ねる。今日、遥が外出するってんで俺も安心して草野球観戦に行けたんだ。 ……これは、マズい。すでに我が家は極寒地獄と化しているかもしれない。おそるおそる俺はリビングに入る。 すると。 「おっかえりぃ~叶多!」 そこに居たのは、にっこにこの遥だった。こっちに気付くと突撃するようにハグしてくる。 俺は目をぱちくりさせた。 ――へ?ま、まさか遥…機嫌なおった? ここ数日の暗黒期なんて幻だったみたいに遥は超イイ笑顔だ。振り回された俺は脱力する。 もー何なんだよマジで…サクにもまた迷惑かけたばかりだっつのに。『カナ』呼びじゃないけど、遥がめちゃくちゃゴキゲンなのは一目瞭然だった。

ともだちにシェアしよう!