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決意

痛いほどの沈黙が落ちる。 頑張って強がってるけど、俺は意識を失いそうなくらい緊張してた。この瞬間を今後、悪夢に見るのかもしれない。 でも俺は、まだ通常の遥の目をちゃんと真っ直ぐ見た。極寒に変わっても見続けるつもりだった。逸らしたらサクへの想いを否定する事に繋がりそうで、それだけは許せない。 ――ごめん遥。俺、これは譲れないよ サクに言った通りだ。お前に、負けられない。 「そっか…」 何十分も、何時間も経った気がした。でも実際は数秒だろう。 ようやく遥が口を開いた。目を伏せた兄に俺は身構える。 でも――― 「わかった。今までゴメンな、叶多」 ぱっと顔を上げた遥は明るい声でそう言った。相変わらず日だまりの笑顔で、寒気なんか微塵も感じられない。 え?と俺は目も口も点になった。い、いいの…?と、あまりにもアッサリとした快諾に逆に不安になる。 「ガンバれよ、応援するし」 でも、そんな俺を置いてきぼりに遥はガッツを送ってくる。 好意的な兄貴を思わず狐につままれた心地でマジマジと見た。そして失礼な俺は、ある可能性に至る。

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