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決意

「よっし、んなら今日は久々に腕振るっちゃおっかな~」 突如いそいそとギャルソンエプロンをつけ始める兄貴の背に、「え?」と俺は問い掛ける。「だーかーらー」と遥は振り返った。 「晩飯はお前の好物作ってやるって言ってんの。んで、それ食って明日サクにコクれ!」 「はっ!?明日!?」 はりきる遥の提案に俺は目を見張る。 そ、え、そりゃ、いつかは言いたいけど、ちょっと期間が短すぎやしませんか。自覚した次の日て。こっ、心の準備ってものが! アワアワする俺の前で遥は「ゼンは急げってゆーじゃん」と、冷蔵庫を開けて中身を物色している。 俺は現実逃避に遥を眺めた。めんどくさいって滅多にやらないけど、こう見えて兄貴は料理上手だ。どこまでハイスペックなんだよお前。ちなみに俺は、後片付けなら得意です。お察し。 「不安なら『おまじない』してやろっか?」 「…もうしない約束だろ」 キッチンからニヤッとする兄貴に、俺はムウとむくれる。 『おまじない』はキスの意味だ。子供の頃に、よくそう言って遥は俺にキスした。元気が出るから、とかテキトーこいて。「ジョーダンだよ」と遥は愉快げに笑った。くっそ、こっちは必死だってのに。面白がってんじゃねーよリア充め。

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