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涙
夕飯は本当に俺の好きなものばっかりだった。デザートまであった。
両親が不在の今、コンビニに頼りがちの食生活だから凄く嬉しい。しかもオードブルからどれも旨い。足りない食材を買いに行ってまで、遥は作ってくれた。
兄貴のその心遣いを無駄にしない為にも、俺は明日サクに告白する事を決めた。
「いつコクんの?」
そして、迎えた翌朝。
いつも通り一緒に登校しながら遥が訊いてきた。俺は寝不足のボンヤリした顔を上げる。はい、眠れなかったっす。
でも頭は緊迫状態。一晩中悶々としてたからかも。
「サクの部活が終わってから」
十中八九、サクは俺の事を弟くらいにしか見てない。それは彼の態度から分かる。
だから驚かせるだろう。きっと困らせて悩ませる。その事については、ホントごめんと思う。でもサクは変に勘のいいとこがあるから、コクらなくてもそのうちバレそうな気がするんだ。俺の事を思って距離を置こうとするかもしれない。
でも、そうされるくらいなら堂々とコクってスッパリ振られたい。
自己中な考えだけど、避けられるよりかはいい。友達に戻れるかは分かんないけど。そこはもう、賭けだ。
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