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サクの傍らに、一人の女子生徒が居た。 知らないコだ。腕とか組んでないけど、寄り添うように二人は立っている。 横で遥が息を呑む気配がした。「おは、サク」と、ぎこちなく挨拶する。 その兄貴の声を、俺は他人事のように遠くで聞いた。操られるように口を開く。 「サクおはよ。隣の子は?」 俺の出した声も、自分のじゃないみたいだった。淡々として機械的。「か、叶多」と遥が制服の袖を引っ張ってくる。無視する。 サクは俺の問いにポッと赤くなった。あ、可愛いな。 「か…彼女。昨日、帰り道でコクられてさ…」 赤面するサクに続いて彼女も頬を染める。そして、ぺこっと頭を下げて俺と遥に名乗った。礼儀正しくて、第一印象は最高だ。 でも、俺たちは何も返せなかった。こういう時に抜群に愛想のいい遥も、珍しく絶句していた。なんかゴメンな遥。 ――あ、この子…『子犬系』だ… ショートボブの黒髪で、薄いリップ以外に化粧っ気のない目もパッチリで清楚で、小柄で… どう見ても二人は、お似合いのカップル。 「おめでとう、良かったね」 俺は、うまく笑えたらしい。サクは「ありがとな」と幸せそうにはにかんだ。 俳優になれるかも、俺。

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