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戸惑い

俺は、サクを応援する事にした。 苦しいけど辛いけど、仲睦まじく彼女と喋ってる姿を見ると、そうしなくちゃいけないと思った。俺の醜い嫉妬心で、サクの恋を汚しちゃダメなんだ。 「あの、叶多くん。これ作ってみたんだ。良かったら食べて?」 おまけに、サクの彼女――モモっていうんだって。名前も可愛らしい――は人が好かった。 昼休みに差し出された手作りクッキーを、「ありがとモモさん」と俺は頂く。無添加の優しい味は、彼女そのものみたいだった。 控え目だけど穏やかで、おっとりした性格のモモさん。ふんわりと微笑む彼女に俺の良心は痛み、失恋の傷は癒された。 俺の出る幕なんか無く、見事に完敗だった。 「サクたちと昼、一緒に食ってんだって?」 夕食後、キッチンで皿を洗う俺の後ろから遥が訊いてきた。案じる眼差しに、俺は水を止めて「平気だよ」と体ごと向き直る。 その通り、俺は今サクとモモさんと昼休みを過ごしてる。ぼっちの俺を二人が気遣ってくれた結果だ。何カップルさんの邪魔してんだろ、とは幾度も思っている。

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