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戸惑い
「そりゃ最初はね、ぶっちゃけ拷問だったよ。でも今は大丈夫」
「俺、なんだかモモさんも好きになってきたから」と俺は頬を緩めた。
うん、大丈夫。俺は無理してない。自然に笑えてる。
「そっか」と遥は複雑そうに、でも頷いた。「マジぼっちになったら俺が昼付き合ってやるよ」との軽口にも「あ、いいっす」と俺もノリだけで返す。
あれから遥は、よく飯を作ってくれる。「何が食べたい?」って俺のリクエストを優先してくれる。遥は俺を心配してる。させてる。だから俺は特に家では気丈でいる。
サクは彼女が出来ても俺たち兄弟仲を気にしてくれてる。けど、今はすこぶる良好だ。遥は極寒モードに全くならないし素振りも見せない。でも絶対にならないって保証は無いから、まだ少しビクビクしてるけど。もう俺はそんなに兄貴を怖がってない。ありのままを報告するとサクは安堵してくれた。
だがしかし、だ。
「叶多、キスしてい?」
……うん。そりゃね、俺自ら禁を破ったけど。する前に一言断るようにはなったけど。
兄弟キスが、復活してしまった。遥は屈託のない笑顔でコッチに歩み寄る。うっ…イケメンってホント人生イージーだよな…。
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