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『兄』
『明日の昼さ、ワリィけどモモの誕プレ選び付き合ってくんね?何買えば良いのか分かんねえ!』
「誕プレかあ…」
土曜の夜、俺はサクからのメールに独り言を返す。
モモさんの誕生日が近いらしく、ここ数日サクはその件で頭が一杯だ。コクられた時に彼女に一目惚れしたサクはいつだって全力だ。
羨ましくないと言ったら確実に嘘だ。けど、微笑ましいと思う。素敵なカップルだなって心から思う。
俺は相変わらず不得手な器機に『いいよ』と入力しようとして、留まる。
オイ待て待て、『いいよ』とか軽く言える立場かガリ勉。どう考えても俺じゃ役に立たないだろ。女子って何が好きなんだ?ほらサッパリだ。
サクと二人で店内でオロオロしてる図が目に浮かぶ。サク、自分で言うのもアレだが人選ミスだ。
――あ、遥
ふいにピコンと俺の頭の中に兄貴が現れる。
そうだよ、遥ならセンスもいいし女友達も大勢居るし彼女持ちなんだし。これ以上適任な奴はいない。俺はスクッと椅子から立ち上がる。
ちょっと何かに敗北した気がするけど、良かったなサクこれで解決だ!でもちょっと待ってね都合訊いてくる!
俺は遥と交渉するため、足取り軽く兄貴の部屋へと向かった。
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