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『兄』

「カンタンに俺に股開く淫乱のくせに…」 ベッドに倒れ込んだ俺の上から遥がのし掛かってくる。 逃げなきゃいけないのに、金縛りにあったみたいに指一本も動かせない。凝視してくる遥に竦む。極寒なんて目じゃない恐ろしさを覚えた。双子の兄貴が、得体の知れない化物みたいに思える。 「俺にちんこ突っ込まれてヨガッてるくせに」 「しっかりしろよ遥!俺たちそんな事してないだろ!!」 卑猥な語句に耐えられず、弾けるように俺は遥の言葉を遮る。 もう嫌だ。怖い。怖いよ。「頼む遥…しっかりしてくれよ…」と啜り泣きながら懇願する。 どうしたら、どうしたらいい。どうすれば遥は、正気に戻ってくれる? 「あー…叶多すっげイイ顔…やっぱお前そそるわ」 「もームリ我慢できねぇ」、そう言うと遥は俺に噛み付くようにキスをした。

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