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闇の中

「しかも強制オナの時もさあ、サクの事とっくにバレてるっつーのに必死になって隠すの。小動物みたいに震えちゃってさ、そっこートイレだったよね。あれが無意識とかマジこわいって、末恐ろしいって。指フェラの時もヤバかったし。サクみてえな紳士な誠実キャラで優しく迫ってみたら急にオドオドしちゃってさぁ、超ゾクゾクした」 「うーん、そうだね。それは分かるよ」 精神世界から外を第三者の角度でカナは視て――主人格の目線と相手の目に映るもので具象化させた単なるイメージだ――いたが、確かに叶多は遥の言葉を借りるなら『ヤバかった』。あの様は天然ながら男のツボを心得ている。是非、ボロボロに犯され泣かされ乱れる姿を見てみたい。 昔は違ったが、カナは好きな子を虐めたいタイプだ。それは恋人も同様だけど。遥はワクワクした様子で「な!な!?」と言った。『叶多にエッチな事は許さない』と宣言したカナに手応えを感じているらしい。 「でも、ダメ」 しかし、すっぱりとしたカナの裁断。それに「なんでー」と遥はガックリ項垂れる。 カナは「ハル、どうしてオレが止めてるか分からない?」と悪戯っ子のような表情で問うた。 「うかつに手を出したら叶多が逃げちゃうからだよ。家出でも何でもしてね。主人格はそういうコなんだから。…でもそれは今は、だね。周りをじっくり固めて、逃げられないようにしてから実行しよ。ね?」

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