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闇の中
「…どーゆーこと?」
頬杖をつきつつ遥が尋ねると、カナは勿体振って「うん」とゆったり告げる。
「叶多をね、どこかに閉じ込めちゃうんだよ。そうすれば安心でしょ?念のために鎖で繋いで…ああ、檻に入れちゃってもいいよね。首輪も買ってあげなきゃ」
「それって…監禁ってこと?犯罪じゃね?」
根本的な人格が違うとはいえ、実の弟を凌辱している口がまともな事を言ったものだからカナは可笑しくなる。「そう。じゃ」と挑発的な目を恋人に向けた。
「叶多が誰かに奪られても良いんだね?叶多なんてちょっと目を離したら、すぐに横から掻っ攫われちゃうよ。オレも一緒にね。それでもいいなら」
「いいわけねえだろ」
カナの言葉を遥が冷たい目付きで厳しく両断する。
叶多の宣う『極寒』をカナは物ともせず「なら、する?」と普通に続けた。遥は即首肯する。
「じゃ、高校卒業して一人暮らしになった時を狙ってね。なんなら一緒に暮らしなよ。ウチはそれなりに裕福だけど、お金は大切にしなきゃね。その浮いた分で叶多をたっぷり可愛がってあげなきゃ」
「…うん、いいね。賛成。あいつヤれるなら何でもいーし」
話の分かる恋人にカナは「決まりだね」と、うっそりと笑んだ。
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