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第11話 お見舞い Ⅱ
「じゃあ そろそろ帰るな
また近いうち来るから」
「うん ありがと…う…げほっごほ」
起き上がろうとした海音が 激しく咳き込んだのを見て、慌てて背中をさすった
「海音!! 無理しなくて良いから!!」
「…うん…ごめん…」
海音の呼吸が落ち着いたのを見届けてから部屋を出て エレベーターを待っていると、海音のお母さんが病室から出て来てくれた
「永遠君 私がお見送りしても良い⁇」
「え⁇ あ…ありがとうございます」
そんな会話を交わした後、丁度エレベーターが来て一緒に乗り込んだ
中には誰も乗っていない
ドアが閉まったと同時に 海音のお母さんに腕を強く掴まれ、流石にギョッとしてしまった
「え!? ど、どうしたんですか!?」
「ねぇ…永遠君…この制服…陸也と一緒…あの子とも仲良いの⁇」
「え⁇ 陸也って俺と同じ学校なんですか⁇」
俺の口から陸也の名前が出ると 反対の腕も掴まれ、壁際に追いやられてしまった
意外と力が強く、どうしたら良いか分からなかった俺はされるがままになってしまっていた
「やっぱり!! あの子とも知り合いなのね!?
お願い!! あの子の事説得して!!」
「説得…って… 何のですか⁇」
興奮しているのか息遣いが苦しそうに見えて、その姿が先程の海音と被って無意識に背中をさすると、顔を上げた海音のお母さんは泣いていた
「海音のドナーになる事よ!!
ずっと…ずっと協力してくれてたのに!!
もう嫌だって…」
腕の力が抜けて倒れてしまいそうな身体を支えると、そのまま海音のお母さんは泣き崩れてしまった
「…このままじゃ…海音が死んじゃう…ねぇ…お願い…」
海音が…死ぬ⁇
陸也が…ドナーになる事を拒否してる⁇
何で…どうして⁇
疑問符が次から次へと湧き出す
頭が混乱して 何も言葉が出て来ない
この後 どうやって海音のお母さんと別れたのかも、暫く経っても俺は思い出せなかった
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