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第13話 予想外
次の日 どうやって永遠を撮ろうかと朝から悩んでいた
他学年の廊下に行くと目立つから、食堂か移動教室を狙おうと 俺が色々考えていたのに…
「ねぇ、このクラスに如月 陸也っている⁇」
窓際の席に座っていた俺には この時の永遠の声は聞こえていなかったけど、教室中のざわつきに何事かと入口を見た時 飲んでいた紙パックのジュースで思いっきり咳き込んでしまった
「あ、陸也!! 良かった 会えて…」
永遠の微笑みに クラス中が見惚れたと思う
そんな影響力のある永遠が俺に会いに来てくれた事は、心の隅では すごく嬉しかった
でも…
「星都先輩…今日も格好良過ぎ…」
「でも何で如月⁇」
「あの成金…どんな手使った⁇」
そんな声がそこら中から上がり、居た堪れなくなった俺は 身を屈めながら永遠の立つドアの前に足を進めた
「…な、何ですか⁇」
「陸也⁇ 何で敬語⁇」
「学校なんで…」
こんな俺の素っ気無い返事にも 永遠は笑顔を崩さなかった
「そう…だよな
急にごめんな⁇ 同じ学校って聞いて…その…ちょっと話したくて…
昼休みか放課後って 時間あるか⁇」
「…5限体育なんで…放課後なら…」
クラス中の視線が背中に突き刺さって痛い
俯いてる所為で 永遠の顔は全然見れなかった
「ありがと…じゃあ また放課後迎えに来る」
「それはいいです!! お、俺が行きます…」
「そう⁇ じゃあ 待ってるな⁇」
永遠が俺の頭をポンと叩くと 後ろからだけじゃなくて、廊下からもザワッとした声が響き、俺の体温もカーッと上がっていくのを感じた
「じゃあ、また後でな 陸也」
ヒラヒラと手を振りながら颯爽と廊下を歩いていく永遠
俺は一つ息を吐いた後、恐る恐る後ろを振り返った
予感通り、クラスの皆が俺を訝しげに見ている
中には睨みに近い視線も感じた
気不味いと思いながらも席に戻ろうとすると、突然出された足に躓き その場に転んでしまった
「…い…った…」
机にぶつかってしまい、打った箇所をさすっていると、周りからはクスクスと嘲笑する声と調子に乗るなといった類の声が俺の耳に入って来た
これから先の学校生活に不安を感じたそんな時だった
「大丈夫⁇」
俺の身を案ずる言葉と伸ばされた手に顔を上げると、クラスメートの小倉 那智が心配そうな面持ちで俺の顔を覗き込んでいた
あまり話した事は無いが、吸い込まれそうな綺麗な瞳に 思わずその手を掴んでいた
「…ありがと」
戸惑う俺に小倉はニコッと笑顔を向けてくれた
その笑い方が何処か兄さんと似ていて、勝手に親近感を覚えてしまっていた
俺が立ち上がるのと同時にチャイムが鳴ると、皆の視線が散ってガタガタと椅子の音が響いた
小倉 那智も例に漏れず、俺の手を離すと前の方の自分の席へと戻って行った
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