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第14話 悪巧

あっという間にやって来てしまった放課後 俺から行くと言ってしまったが、よくよく考えると三年生の教室に行くのも緊張する 少しでもその緊張をほぐしたくてトイレに行った 水道の蛇口を捻りながら、よし!!と気合いを入れて廊下に出た時 後ろからポンと肩を叩かれ、ビクッと大袈裟な位竦み上がってしまった 「お…小倉君⁇」 振り返った先に居た小倉 那智は、昼間教室で手を差し伸べてくれた時と同じ笑顔を浮かべていた 「あはは、驚かせてごめんね 僕の事は 那智で良いよ⁇」 もう二学期だと言うのに可笑しな会話の様にも感じるが、そう言ってもらえた事は素直に嬉しくて より安心感を与えてくれた 「ありがと…な 那智 もし良かったら…俺の事も名前で呼んで⁇」 「うん 陸也 前からずっと話してみたかったんだよね だって 僕達Ω同士でしょ⁇」 この学校は親同志の付き合いだったりで、自分から言っていなくても性別が知られている事が多い だから俺がΩである事を知っている人もいるだろうし、那智がΩな事を俺も知っていた 少し天パ気味な金髪と大きな翡翠色のアーモンドアイ 那智は一際目立つ見た目で 永遠とは別の意味で人気者だった 「あ そうだ 話しかけたのはね、星都先輩から伝言があったんだ」 「え⁇」 「なんかね、教室思ったよりも人が居るから 旧校舎の体育倉庫来てだって」 永遠の話は きっと兄さんの事だろうと思っていたし、もし病気の事なら 人前では話さないだろうと 俺は那智の言葉を微塵も疑わなかった 「わざわざありがと、じゃあ また明日」 「うん バイバーイ」 小さく手を振る那智に 俺も軽く振り返すと、永遠が待っていると思った旧校舎へと急いだ 後ろで妖しく笑う那智には 全く気が付かずに

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