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第22話 含羞

どんなに憂鬱でも朝はやって来てしまう そんな気持ちのまま教室の前に立てば、中から感じる微妙な空気感に 顔を上げるのが嫌になる 「ねぇ、入らないの⁇ そこ邪魔なんだけど」 「ご、ごめん」 咄嗟にそう言って横に移動すると、那智が不機嫌そうな顔で立っていて 本当は文句の一つも言ってやりたいのに 何も言えなかった 那智は昨日のにこやかな表情はどこへやら、ふんと鼻を鳴らすと 自分の席に座って その周りを取り巻き達が囲い込んでいる チラチラと見られているのを感じながらも、結局何も言えない俺は 黙って自分の席に座った その瞬間 ポケットの中の携帯が震え、ディスプレイに映し出された星都 永遠の名前に小さく溜息を漏らした 昨日も 本当にゴメンとか色々送って来てくれて、気にしなくて良いと言っているのに 今朝方からも何かあったら言うようにとかずっと連絡が来ていた 今送られて来た内容も俺の身を案ずる物で 兄さんの事には一切触れられていない そんな内容を目にする度、胸の奥が苦しくて 涙が滲みそうになる ずっと家の中心は兄さんだったから、俺をこんな風に気遣って貰えるのが 素直に嬉しかった でも 可愛い部分は全部兄さんに持っていかれている俺は、そんな永遠に対して 素っ気無い返事を返す事しか出来なかった

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