34 / 41
第33話 燈
沢山の点滴に囲まれて眠る海音
その白い手を握りながら、今日学校であった事とか そんな何でもない事を 俺は一人で勝手に喋っていた
海音の手に触れて20分くらいだろうか
病室の扉が開き、そちらに顔を向けると陸也が立っていた
「永遠…来てたんだ」
「うん…海音…起きないな」
「発情期が来たからね…
兄さんの身体には負担が大きくて 強い薬で抑え込むから、この時期はずっと寝てるんだ…」
陸也は俺の隣に座ると 心配そうに海音の顔を覗き込んでいる
「抑制剤と併用して使える薬が限られてるから、いつもこの時期に体調が悪くなっちゃって…」
「…そうなんだ」
確かに 数日前と比べてまた細くなったと思うし、顔色も良くない
海音の命の燈が細く小さくなっていく
それを感じているのに、俺はただ白い手を握る事しか出来なかった
ともだちにシェアしよう!