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第34話 燈Ⅱ
余程強い薬だったんだろう
海音のフェロモンを感じる事なく、一週間が過ぎた
いつもの様に病室に入ると、海音が薄らと目を開けて俺を見てくれた
「海音!?」
「…と…わ」
掠れた弱々しい声に 涙が出そうになるのをグッと堪えた
「…おねが…い」
「え⁇ 何⁇」
「…海が…見たいんだ」
「海音…でも」
「…お願い…ココだけは…嫌なんだ」
浅く呼吸を繰り返す海音
その目から涙が一筋溢れたのを見て、俺は海音の白い手をギュッと握った
「…分かった…行こう」
俺は自分のスマホを取り出し、橋本に電話を掛けた
「悪い…今直ぐ正面玄関に来てくれ」
電話を切ってから海音を見ると、いつもと同じ綺麗な笑顔で俺を見てくれていた
「行こう 海音」
だから俺も 精一杯の笑顔を海音に返した
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