40 / 41
第39話 宿星 Ⅱ〜side陸也〜
「ゴメン…母さんが落ち着くまで 家を出たい…」
兄さんの葬式が全て終わり、このまま家に帰る気持ちになれなかった俺は、父さんにそう切り出した
兄さんが亡くなってからの母親の癇癪が、以前と比べ物にならないくらい激しくて辛い
俺が悪いのは分かっているから、全部受け止めたいと思っていたけど、どこにいても安らぐ時間がないのは想像以上にキツくて、情けないけど逃げ出したくなった
「そうだな…でも もういつ発情期が来てかもおなしくないのに、一人で大丈夫か⁇」
「大丈夫だよ…抑制剤も持ち歩いているし、一人で何とかする」
そう… 一人で大丈夫
ていうか、もう何もかもが どうでも良い
俺なんて、誰かにめちゃくちゃにされたら良いとすら思う
「分かった…とりあえずどこかホテルを取ろう」
「あの!! もし良かったら 俺の家どうですか!?」
父さんの言葉とやや被った聞き慣れた声に振り返ると、永遠が心配そうな顔で立っていた
「家、部屋余ってるし!! 登下校も一緒に出来ますし!!」
「永遠…でも…迷惑…」
「全然迷惑じゃない!!
陸也が嫌じゃなければ、いくらでも居てくれて良いし!!」
永遠の勢いに戸惑いつつ父さんを見ると、小さく頷いていた
「知っている人と一緒の方が安心じゃないか⁇
お言葉に甘えさせて貰いなさい」
「…じゃあ…よ、よろしくお願いします」
俺がそう呟くと 永遠はホッとした様な表情を向けてきて、その顔に 胸の奥が ギュッと絞られる様な感じがした
ともだちにシェアしよう!