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第1章3話 深月

マンションに戻ると深月がベランダの窓際に座って脚の指の爪を切っていた。 「自分ちでやってよ、そういうことは」 「おかえり。貴方のとこくると何故か爪切りたくなるのよね、不思議」 あははと深月は笑う。 深月が笑うと城野はいつも胸が締め付けられたように苦しくなった。けれどそれは恋のそれではなくて多分深月の中に自分と同じ孤独を見るからだ。 恋なら ーーこれが恋ならどんなにいいか 城野は何度も思う。 細い肩を抱きながら。 柔らかな髪を撫ぜながら。 何度も何度もそう思う。 けれどやはりそれは恋とは別の何かだった。 そして深月もまたそれは同じだった。 「私さ、本当に好きな人とは絶対一生結ばれない運命なの。だからね、誰でもいいの」 ーーその人以外はみんな同じだから 初めて寝た時深月はそう言った。 「みんな同じならオレにしとけよ」 「そうね、貴方となら上手くやっていけるのかもしれない」 そうやって二つの孤独は重なった。

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