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第2章18話 追いかけて

人の気配を感じて、城野は耳にスマホを当てたままで振り返った。 「ゆづっ」 見間違える筈もない坂下の後ろ姿だった。 「ごめん、また後で」 そう言って電話を切るともう一度名前を呼ぶ。 「ゆづ」 城野の声に一瞬ぴくっと反応したようにも見えたのに、その背中は立ち止まることはなかった。 ーーゆづ ーーどうして? 胸に押し寄せる不安はいつものこと。 初めての恋は城野を弱くする。 ーーゆづ 坂下の行く先は学食で、そこには筒井俊介が待っている。 坂下が「俊」と呼ぶ男。 ーーゆづ、行かないで ーーオレを ーーオレを嫌いにならないで 「ゆづっ」 追いかけて、追いついて、縋るように手首を掴む。 「ゆづ、待って。どうして逃げるの?」 それは問いかけではなく、哀願だった。 「ごめん」 「何が?オレゆづに謝って貰うようなことされた覚えないよ」 城野を見ないまま固く唇を結ぶ坂下。 「謝るのはオレの方だ。違う?」 その坂下を見つめる城野。 「お前は何も謝る必要ない」 その言葉と同時に坂下は真っ直ぐに城野を見つめ返す。 学食へと続くエントランス。 後数歩、歩けばそこは学生達で溢れていて。城野も坂下も隣に座る相手の名前も知らずに、それでも笑っていられる場所。 そんな場所から背を向けて、二人はお互いを抱き締めた。 不意に坂下の脳裏に蘇ったのは、あの日に見た光景。 ーーさるだんご

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