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(番外編)オメガとアルファのときー3
城の中は静まり返っており、自分以外の気配は感じられなかった。
誰もいないことに安堵を覚えつつ、ゆっくりと階段を登っていく。普段でも時折辛いと感じていたが、今は一歩目から辛い。
だが、もたもたしていては誰かに見つかってしまうかもしれないと焦りを感じながら、無理矢理身体を動かしていく。
「はぁ、はぁ……」
レイの息がどんどん乱れ、苦しみの方が多いように感じられる。
誰にも見つからないで部屋に戻り、早くベッドに横たわりたい。
ようやく自室のある階へと上りきり、あとは平坦な廊下を歩いていくだけであった。だが、焦る気持ちがレイの足取りを重くさせていた。
「あと、少し……」
部屋のドアへ手を掛ける。いつもは難なく開けられているそれも、やけに重みを感じられてなかなか動かない。それでも、やっとの思いで中へと入り、その場でへたり込む。
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