マネージャーは可愛い容姿のせいか変な男に声をかけられる事が多い。それは、学校内でも外でも。 「マネージャー、誰かに声かけられてるな」 部活に行くために拓真と一緒に向かっていた西川が上級生に声をかけられている安曇を見つける 暫く眺めていると話が終わったのか安曇は上級生から離れて体育館の方へと向かっていく 「終わったみたいだな」 隣にいる拓真に話しかけたが、すでにそこにはいなくなっており先ほど安曇と話していた上級生の元へと向かっていて 「うわ…」 慌てて拓真の元へと走っていき手を掴む 「ちょっと待て。拓真、何する気だ？」 「話をする…答えによっては殴る」 「やめろ！ほら、部活行くぞ」 俺はよく知らないが、過去にマネージャーは襲われかけたり攫われそうになったりと危ないめに遭いそうになってるらしく…その度、拓真が阻止しているらしい。 マネージャーは、裏で拓真が番犬のようになっていることは多分知らない。 部活中、数人が怪我をしてしまったが安曇はトイレに行っているのかその場にはおらず西川が探しに体育館の外へ出る 「どこ行ったんだ？マネージャー」 たまに保健室へ補充に行くこともあるのでそれかと考えつつ周囲を探していると、大学生らしき男と校門付近で話をしているのを見つけ 「いた…」 一瞬、拓真を呼びに行こうか迷ったが安曇を呼び寄せるくらいならいいかと小走りで二人に近付き安曇に声をかける 「おーい、マネージャー」 「あ、西川くん」 呼びかけに気が付き振り返り急ぎの用事かと首を傾げて、後ろにいる大学生は眉をひそませて西川を見ている 「怪我人出たから呼びにきた」 「え！ホント！話の途中だけど戻るね蓮くん！」 「おう」 慌てて話していた大学生に手を振ると走って体育館に戻っていく安曇 「君は安曇と同じ部活の人？」 「え？あー…はい」 「ふーん、そうか…安曇に変な気起こさないように気を付けて」 口調は柔らかいが、どこか凄みが感じられ頷く事しか出来ず。その空気は拓真が番犬の時に発揮される空気感と似ている気がする。 （この人も、マネージャーのセコムか…） なるほどと一人納得していると大学生はその場から立ち去っており、金縛りが解けたかのように急いで体育館へと戻る 「はー…怖かった…」 「どうした？顔色悪いぞ？」 休憩していた拓真が西川の元へとやって来て心配そうに声をかける 「お前より怖いセコムをみた」 「は？」 「マネージャー呼びに行った時に大学生っぽい人と話しててさ。それ呼びに行ったら大学生の人に「変な気起こさないように」って言われて…目が笑ってなかった」 「ふーん…最近よくくるなアイツ」 「拓真の知り合いか？」 まぁなと簡単に話を切り上げられ、とくに気にもとめてないようなので危ない人ではないらしい事がわかり、大きく息を吐いて 「あまり関わらないようにしよう…」 それと、マネージャーはバレていないと思っているようだけど、部内ではマネージャーが拓真にゾッコンだということは周知の事実で。わりと早く拓真とくっついてくれればいいと思っている。 「拓真ってさ、マネージャーのことどう思ってんの？」 「どうって？」 シュート練習の順番待ちをしている間に前に並ぶ拓真に聞いてみるが、ピンときてないような表情を向けられてしまう 「好きとか嫌いとか」 「好きだけど？」 さらっとすぐに答えられてしまい言葉に詰まってしまうが、負けじと食いつき 「恋愛の相手としてはどうだ？」 「恋愛？俺と安曇が？」 周りもどんな答えを言うのか気になりチラチラと二人を見つつ聞き耳を立てる 「ないだろ」 「え？ないの？」 思わぬ答えに驚き、すぐさまツッコミを入れてしまう 「だって俺、安曇に嫌われてるし」 「はぁ？！」 拓真の斜め上の答えに近くにいた先輩達も振り向き、信じられないという顔を拓真に向ける 「結構、避けられてるし…俺と話す時目合わせないし…距離とるし」 「あれは、ほら…照れてるだけだって」 「そうかなぁ…？」 拓真にシュートの順番がまわってくるとボールを受け取り走り出しドリブルからレイアップシュートを華麗に決める 「これは時間かかりそうだな…」 俺がどうこう出来ることじゃないけど、二人の友人としては上手くいってほしいと思ってる。時間かかりそうだけど…