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番外編 森のオメガさんたちのお料理教室
※『森のアルファさん』『LOST CHILD』『KILL ME KISS ME』三作合同小ネタ。
冬にオススメな簡単大根料理を、芳と麒麟と悠がぐだぐだ喋りながら作る企画です。
トークのみで進行しますので、ご了承頂ける方のみどうぞ!
◆◆◆◆◆
芳 「ハイ、今日も始まりました『芳's キッチン』! 第50回目の今日は、冬にピッタリな大根を使った、簡単メニューを作ります』
麒麟「50回記念回だ! おめでとう、芳さん!」
悠 「……俺初めて参加すんだけど、過去に49回もやってんの?」
芳 「ハルちゃん、細かいことは突っ込んじゃ駄目! ということで、今日作るのは『大根のツナ缶煮』です!」
麒麟「さっき亮太の店で大根買ってきた」
悠 「俺は言われた通り、ツナ缶持ってきた」
芳 「おー、立派な大根。この時期大根美味しいからねー。作り置きするなら一本丸々使って大鍋で作ってもいいんだけど、今日は取り敢えず半分だけ使おう。まずは1/2の大根を、厚み1cmくらいのいちょう切りにしまーす」
麒麟「じゃあ俺と御影で分担しよ」
悠 「了解」
芳 「キリちゃん、ちょい待ち。大根剥くのにピーラーは無い……!」
麒麟「え? 駄目?」
悠 「お前、いっつもそれで剥いてんのかよ……」
芳 「絶対駄目ってことは無いけど、大根の皮はちょっと厚めに剥く方がいいよ。ハルちゃん上手だから、見ながら頑張って真似して」
麒麟「……そういえば、俺が大根剥いてるといっつも勝吾さんが途中で交代しに来てたんだけど、その所為だったのか」
悠 「さり気なくフォローするあたり、出来たパートナーだな」
芳 「本郷クンも出来る男じゃん。一昨日もテレビで見たよ。またアルバム出るんでしょ?」
悠 「あー……一応」
麒麟「アルバム出るってことは、またツアーとかあるんじゃないの。もし本郷が長期で留守にすんなら、奏と一緒に泊まりにきたら? 怜央も喜ぶだろうし」
芳 「あ、いいなーお泊り会。俺も行こっかな」
悠 「月村先生と子供たち、どーすんですか」
芳 「勝ちゃん家ギュウギュウになっちゃうから、みんなでウチに泊まりに来てくれてもいいしさ。なんかキャンプみたいで楽しそう」
麒麟「でも、それだとさすがに本郷が可哀想かも」
悠 「……アイツ、絶対拗ねそう」
芳 「アハハ、可愛い。俺まだ本郷クンとは会ったことないし、勿論留守じゃないときに一緒に来てくれてもいいよ」
麒麟「でも本郷って、みんなで騒いでるとこ想像出来ないんだよな」
悠 「俺もしょっちゅうアイツの人間関係心配になる。仕事仲間とはちゃんと付き合い出来てるみてぇだけど、基本他人にあんま感心ねぇみたいだから」
芳 「ふーん? じゃあハルちゃんはよっぽど特別ってことだ?」
悠 「いや……別に、そういうんじゃ……大根切れました」
芳 「勝ちゃんとキリちゃんとこも見てると可愛いけど、ハルちゃん夫夫もこっそり眺めたいなー。お、ハルちゃんさすが。厚みも均等、バッチリ」
麒麟「……俺も切れた……けど……」
芳 「うん、切り口斜めになってるけど、頑張りは伝わってくるからオッケー! 多少いびつでも食べれば一緒だから大丈夫!」
麒麟「……家で練習しよ」
芳 「じゃあ、鍋に大根を入れて、ひたひたになるくらい水を入れます。大根1/2本なら、大体200ccくらいかな」
悠 「水200cc、オッケー」
芳 「味付けは、酒とみりんと醤油を各大さじ2ずつ。同じ比率って覚えておくといいよ。ちょっと濃い目の味付けだから、薄味がいい場合は醤油の量調整してねー。あとは、砂糖を小さじ1加えます」
麒麟「砂糖も入れるんだ。甘辛い感じの味?」
悠 「立花ストップ! お前、それ塩!」
芳 「キリちゃん、『砂糖と塩間違えちゃった~☆』は勝ちゃんの前でやってくださーい」
麒麟「ごめん、素で間違えた。砂糖小さじ1、入れまーす」
芳 「そして最後に、ツナ缶を汁ごと入れます」
悠 「汁ごとでいいんすか?」
芳 「汁きってからでもいいんだけど、出汁の代わりもなるから、俺は一緒に入れるようにしてるよ」
麒麟「じゃあツナ缶汁ごと入れちゃいまーす」
悠 「基本全部ぶち込むだけ?」
芳 「そう。後はここに落とし蓋と灰汁取りを兼ねたクッキングペーパーを載せて、中火~弱火で煮汁が少なくなるまでひたすら煮込めば完成!」
麒麟「え、もうこれであとは煮込むだけ?」
芳 「そうだよー。超簡単でしょ? ご飯のお供にもなるし、酒のアテにもなる優れモノ」
悠 「へえ……ツナ缶と一緒に煮込んだことなかったけど、子供も好きそうだな」
麒麟「怜央も大根嫌いってわけじゃないけど、シンプルな煮物とかだと自分からは食おうとしないんだよなー。あ、なんかもう汁がいい匂いする」
芳 「ウチの司も結構好き嫌い多いけど、これは子供たちも食いつきいいよ」
麒麟「放り込むだけだし、包丁使いさえマスターしたら確かにコレは楽かも」
芳 「キリちゃんは、いつも男の料理!って感じだよね。性格出てる。ハルちゃんは、凄く丁寧な料理作りそう」
悠 「俺は単に、昔から施設で飯作ってたから慣れてるってだけで、丁寧なわけじゃねぇと思うけど……」
麒麟「俺よりは俄然丁寧じゃん。だって本郷から、毎晩無言で晩飯の画像送られてくるし」
悠 「は!? 晩飯の画像ってなんだよ!?」
麒麟「最初は返事返してたけど、最近はもう既読つけるだけにしてるのに、いっつもマメに写メ送ってくる……って、もしかしてコレ、御影に言っちゃいけないヤツだった……?」
悠 「アイツ……帰ったらスマホの画像フォルダ全部チェックしてやる」
芳 「あーあ。コレは今晩、ハルちゃんとこは盛り上がりそうだねー。でも愛されてる証拠じゃん? ハルちゃんの愛情たっぷりの料理を自慢したくて仕方ないってことでしょ?」
麒麟「料理の写真は送ってくるのに、御影が写ってる写真は絶対送ってこないところに、本郷の並々ならぬ拘りを感じるんだよな」
悠 「……やめろ、マジ恥ずい……」
芳 「さっすがピアニスト。情熱が違う!」
麒麟「ちなみに月村先生は? どんな風に愛情表現するの?」
芳 「英ちゃん? そうだなー……割とストレートだよ? まあでも、人前で言うタイプじゃないかな」
悠 「先生が三人の子持ちって聞いたとき、凄ぇ衝撃だった」
麒麟「ほら! やっぱりビックリしたの俺だけじゃなかった! 月村先生が甘い言葉囁いてるところとか、全然想像出来ない」
芳 「確かに、普段の英ちゃん見てたら想像出来ないかもなー。……じゃあ折角だから、大根煮込んでる間にそれぞれパートナーに言われて一番嬉しかった言葉の暴露大会でもしよっか」
悠 「えっ……」
芳 「どうせみんな知ってる仲だし、たまにはぶっちゃけトークもいいじゃん? そんじゃ、先ずはキリちゃんから」
麒麟「一番嬉しかった言葉……うーん、何だろう。嬉しかった言葉はありすぎるくらいだけど、『お前が来てくれて良かった』って言われたのは、特に嬉しかったかな。自分が、勝吾さんの救いになれた気がして」
芳 「わーお、キリちゃん男前! ってか俺も勝ちゃんと同じこと思ってるよ。勝ちゃんには、キリちゃんじゃなきゃ駄目だっただろうからさ」
悠 「立花って、高校時代からいつも堂々としてたよな。……そういうとこ、素直に羨ましい」
芳 「そんなハルちゃんは? 凄く情熱的な言葉、いっぱい言われてそうだけど」
麒麟「本郷も堂々としてるじゃん。αだから余計そう見えるのかもだけど」
悠 「アイツは逆に、もうちょっと遠慮して欲しい……」
芳 「そんな彼から、どんな愛を囁かれてるのかな~?」
悠 「いや、あの……俺、こういうのホント苦手なんで……」
麒麟「芳さん、信じられる? このピュアさで、元AV男優だったんだよ」
悠 「うるせぇな! いっそ私情挟まない仕事の方が割り切れるんだよ!」
芳 「でも俺、ハルちゃんの気持ちちょっとわかるかも。大事な相手だからこそ、迷いとか不安も大きくなるっていうかさ」
悠 「そう。……だから、俺に向けてっつーより、アイツが『幸せ』って言うたびに、ホッとする」
麒麟「……健気だ」
芳 「ハルちゃん、いい子……! 思いっきり抱き締めて、本郷クンにヤキモチ妬かせたい」
悠 「勘弁してください……アイツの場合洒落にならないんで……」
麒麟「芳さんは? それこそ、俺たちが想像も出来ない月村先生の言葉が聞きたい」
芳 「俺から振っといてなんだけど、そう言われると出し惜しみしたくなるなー。てか、ホントいっぱいありすぎるんだよね。色んな意味で、英ちゃんは俺の命の恩人だから」
麒麟「勝吾さんに、月村先生と芳さんの馴れ初め聞いても、いっつも『あの二人はスリルとショックとサスペンスだ』としか言ってくれないんだよな」
悠 「全然想像出来ねぇ……。そもそも、あの先生が感情的になってるとこも見たことねぇし」
芳 「英ちゃん、結構感情豊かだよ? 少なくとも、出会ったときから俺にはそう見えてた。そういえば、『僕をあんなに苛々させたのは、人生で芳さんくらいだ』って言われたことあるんだけど、それも俺にとっては特別な感じがして嬉しかったな」
麒麟「俺、しょっちゅう月村先生に説教されるけど、芳さんはもっと怒らせたってこと?」
芳 「怒らせたし、心配もさせたし、勝ちゃんの言葉はあながち間違ってないかも」
悠 「先生、俺が初めて受診したとき、『ウチに来るΩは問題児ばっかりだな』って言ってた気ぃすんだけど、その第一号ってもしかして……」
芳 「あー……多分俺、かな。英ちゃんは元々世話焼きだけど、多分俺のことがあったから、英ちゃんはキリちゃんやハルちゃんのことも、放っておけないんだと思う。ハルちゃんが無事に出産終えたとき、英ちゃん超喜んでて夜通しご機嫌だった。俺は啼かされたけど」
悠 「……思い出して泣きそうになったけど、オチで涙引っ込んだ」
麒麟「俺も、奏が生まれたとき滅茶苦茶嬉しかったなー。怜央が生まれたときと同じくらい」
悠 「引っ込んだっつってんのに、また泣かせにくんのやめろ!」
芳 「ハルちゃんの可愛さが沁みたところで、大根も程よく煮えたよ~」
麒麟「おー! いい色! ホントに材料入れて火にかけてただけなのに美味そう!」
悠 「……涙出てんの大根の所為だからな」
芳 「キリちゃん。今のハルちゃん写メって、本郷クンに自慢しよ」
麒麟「オッケー。『美味しく頂きました』……送信」
悠 「おい、何送ってんだよ!? 俺がとばっちり受けるだけじゃねぇか!」
麒麟「あ、もう既読ついた」
悠 「……俺の方になんか来た」
芳 「なになに……『俺が帰るまでに奏寝かしつけといてね。今夜は×××が〇〇〇になるまで───』」
悠 「ほら見ろ!! ……俺もう今日ここに泊まりてぇ……」
麒麟「泊まるのはいいけど、それ後が余計に怖いヤツじゃん」
芳 「寒い夜は、パパッとお手軽メニューで、身も心もあったまろうね♡」
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