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virgin suicide :欲望の夜3
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「水野、三係にようこそ! かんぱ~い!」
上田先輩の賑やかな音頭で、周りの人たちと楽しく乾杯した。
(む……なんだか、照れくさいな)
「水野、おまえすげぇな。あの坊っちゃんを、バコンとぶっ飛ばすとは」
「ぶっ飛ばしてません……ファイルでちょっと叩いただけ、です……」
ビールを一口呑みつつ、そっと俯く。
山上先輩に向かって後輩の自分が生意気に、叱り飛ばすなんてことをしてしまった。今更、反省しても遅いのだけれど。
「だけどさ坊っちゃん、よく反撃しなかったよなぁ」
「そうそう、しかも上田に謝ってたぞ。明日は槍が、ドサッと降ってくるかもしれない」
他の人たちは、口々に山上先輩のことを言う。あの人自身が問題児なので、しょうがないのだけれど。しかしきっかけを作ったのが俺なので、正直すごく胸が痛い。
「あれ? 水野、お代わりは?」
「えっと、烏龍茶ください。俺あまり、お酒に強くなくて」
明日も朝から仕事なので。と付け加え、渡された烏龍茶を飲んだ。
山上先輩以外の人たちは、気さくで本当にいい人ばかりだった。仕事中もたまにフォローしてくれたり、自分には勿体ないくらい、いい人たちなんだけど……。
(どこか物足りなく感じちゃうのは、山上先輩に毒されちゃったせいかな?)
周りの話を聞きながら、ぼんやりと考える。帰り道コンビニに寄って、山上先輩が好きなお菓子を買い込んで、職場に行こう。
謝らなければならないのは、手を出してしまった自分なのだから。
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