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virgin suicide :守りたい2

***  急いで書類を提出し、コーヒーを買って、山上先輩のデスクに置いておいた。そして…… (アドレス帳に載ってる、女の名前を消せばいいんだよね)  ミッションを遂行しようとアドレス帳を見たら、あいうえお順に並んでいる名前の一番最初に、何故だか俺が表示されているではないか。 「俺にたいしてスマホを使う度に、この画面をいつも見てるなんて……」  俺の名前が『愛してる水野』になっているのだ。自然と顔が赤くなってしまった。    これを直したら、きっと怒られるんだろうなぁと思いながら、俺の下にある名前を表示してみた。 「ん? 悪関、あくせき?」    もしかして、関さん――?   無駄を嫌う山上先輩らしい。よく連絡する人を、あ行に入れるのは分かるけど……悪っていう文字を使うのが、らしくないっていうか。    チラリと、隣のデスクを横目で見る。折角買ってきた温かいコーヒーが、冷めてしまった。 「いつまで関さんと、一緒にいるんだよ……」  何でもない関係だって頭では理解しているのに、これを見てしまってから、何だか心がザワザワする。 「嫉妬深いタイプじゃ、なかったんだけどなぁ」  山上先輩と出逢ってから、すっかり変わってしまった自分を、随分ともて余してしまう。 「女の名前よりも気になる……」    気にしても、ミッションがクリアにならないので頭を振ってから、言われた仕事を淡々とこなした俺であった。  結局、かなりの数の女の名前をデリートしたのだけれど、刑事なんていう忙しい仕事をしているのに、いつ出会っているんだろう? 俳優並みにイケメンな山上先輩に、声をかけているせいなのかな?   何はともあれ謎すぎる――

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