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Scarface:突然の出逢い6

*** 「う~ん……」    カーテンの隙間から、ちょっとだけ朝日が入り込み、ベッドで寝ている俺の顔を照らした。 寝がえりをして、その眩しさをやり過ごしたら、自室のドアが開く音が聞こえたような気がしたが無視を決め込む。どうにも体がダルくて、いうことをきかないから。    昨夜あの後、昴さんに引きずられるように風呂場に連れて行かれ、丁寧に体を洗っていただいたのだが――。 「髪が濡れるとなんか、雰囲気が違って見えるのな。すげーカッコイイ……」とワケのわからないことを言いながら、俺の首に両腕を絡ませて、キスしてきた昴さん。もちろん拒否すべく、体を押し退けようと必死に抵抗したのは、当たり前のことなんだ。男同士、平気な顔してやることじゃねぇし。 「もう、本当に止めてください。こんなことをされ続けたら、昴さんを嫌いになっちゃいますよ」 「あ? おまえ、俺のことを嫌いになるのかぁ?」 「は、はい……」 「口ではそんな文句を言いつつも、こうしてイヤなことされてんのに、どうして勃起してるんだよ? なんで俺の中で、ビクビク感じまくったんだ?」  三白眼を細めて俺を見つめる、その雰囲気の怖いことこの上ない! 恐怖に言葉がいっさい出すことができずに、逃げ場のない風呂場を無駄にキョロキョロしてしまう。 「こらっ! 煽んじゃねぇって!」 「うっ! 煽ってませんっ!」  昴さんの怒号に思わず、大きな声で答える。本当に煽ってるつもりは、まったくといっていい程ないのに。 「怯えてるクセして、どこかに逃げ道がないか確認してる、しっかり者の竜生くん。そういうところが、俺を煽ってるんだよ」 「そんな無茶苦茶な……」 「おまえのその希望を絶望に変える作業を、俺の手で喜んでしてやろうじゃないか」 「ひっ」と声にならない声で呟いた瞬間、俺の体を簡単に抱え込み、湯の張ってないバスタブへと押し込んだ。 「嫌いになれないようにその体にキッチリ、いろんなことを教え込んでやる」 「そっ、それもヤクザ流の愛し方なんですかね?」   怯えまくって体をを縮こませる俺を昴さんは嬉しそうに見下ろし、舌舐めずりをしたその姿は、根っからのドSなんだなと思った。本当になにがきっかけでそのスイッチが入るのか、全然わからない。 「さっき喜んで、その身に受けただろ。今度は少し、趣向を変えようか?」  言った傍からシャワーを勢いよく出して、俺の顔にぶっかける。 「わっ! ……なにするんだ!?」 「言ったろう? 濡れたおまえはカッコイイって。たまらないね、その姿……」    そしてそのまま昴さんの手によって、いろんなことをされ続け、何度もイカされた揚句に、ベットまで運んでもらった。    そのせいで朝から体がダルくてしょうがない、瞼を開けるのも億劫だった。もう一度寝返りをしようと体を傾けたとき、足元から入り込んだ冷たい空気がひやりと肌を撫でた。次の瞬間、ずしりと重いモノが下半身を固定する。 「昴さん、なんですかっ、いきなり!」  右手で布団をめくると、爽やかな笑顔の昴さんがそこにいた。 「おはようのキスをしようと思ってな、竜生オハヨウ!」 「ちょ、たんま……。どこにおはようのキスをしようとして」 「もちろん、ココに決まってるだろう。朝なんだから」  三白眼をふわりと細め、ソコを見つめると、いそいそ手に取る。 「やめっ、ん……」 「朝から元気ってのは、本当にいいことだなぁ、竜生」 「マジで勘弁してくれよ……」 「マジで勘弁は、お前の髪型だろ。寝癖、すごいことになってるぞ」  昨夜腰が立たずにそのまま寝落ちしたので、しょうがないのである。その原因を作ったのは、昴さんなんだ。 「直してくるから、離してください」 「いいけど、濡らしたらそのまま襲うぞ?」 「襲わないでください」 「その髪型でヤル気半減したけど、今の言葉でヤル気が回復した」  昴さんは布団の中でニヤリと笑い、俺の体に圧し掛かってくる。元々掴みどころのない人だけど、ヤル気スイッチの発動がイマイチ不明。    結局朝から責められた俺は、ベッドから起き上がることができずに、昼過ぎまで寝込んでしまった。逆に昴さんは生き生きした様子で、いつも通り仕事に出勤した。ヤクザの人って、超絶倫なのかな。  それからというもの昴さんは暇があれば、俺の体に触れてくる。 「まんざらでもないクセに」  とかなんとか言いながらコトに及ぼうとする彼に、もちろん全力で抵抗してやった! (けして非力じゃないんだぜ)    しかしそれ以上の力をもって、やすやすと抑えつけられる。力以外にも昴さんがもたらす技で、簡単に翻弄させられた。どうしようもないもどかしさに、手も足も出ない状態だった。 「竜生、ヤクザにケンカで勝とうなんて、百億年早いんだよ。それともそういうプレィで、俺を誘ってるのかぁ?」  余裕綽々な大人の表情をして、俺を組み敷く昴さんに、なすすべがなかった。

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