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抗うことのできない恋ならば、いっそこの手で壊してしまえばいい

(これまで非道ともいえる僕のおこないのせいで、罰が当たったことは分かってる。繋がらない赤い糸を、自分の手で無理やりたぐり寄せたから、その反動で切れてしまったんだ)  底が見えないくらいに深く、相手を愛せば愛するほどに、付き合った者たちはどんどん遠のいていった。  自分にとって、無意味と思える出逢いと別れを繰り返しているうちに、内に抱える想いと同じくらいに、愛を注いでくれる相手と巡り合うことができた。  そのお蔭で僕は相手を殺して自分も死ぬと思うくらいに、ソイツを強く愛した。  お互い愛し合っていると、目に見えないものが見えるらしい。  繋がることのない赤い糸の運命を察したせいで、真っ黒い嫌なものが、僕の心の中をどんどん支配していった。  他のヤツに恋してる姿を、絶対に見たくない。  その一心で、自らの命を捧げた。  神聖な自殺は、このとき幕を閉じたと思っていたのに、意外な展開が僕の運命を待ち受けていた。まさに想いの熱量がこの身を焦がし、違う形に変化させてしまったと、表現したらいいのかもしれない。  まったくの別人格に生まれ変わった先に、待ち受けていたのは――。

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