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第三夜(後編・1)

「じゃあ、僕が総吾さんを愛するよ」  自己嫌悪に陥る中、閏は明るい声でそう告げた。 「はあ?」 (こいつ、何言ってるんだ) 「俺のことを何もしらないクセに」 (鬼の存在を知れば、きっとこいつも逃げるに違いない。両親のように――)  どす黒い感情が総吾の心を染めていく。  その中で、閏はう~んと間の抜けた声を上げた。 「多分僕ね、総吾さんのことは他の誰よりも知ってると思うよ? いつも無愛想に見えるけれど、うんと優しいの知ってるし。ね、実は総吾さんって動物が好きでしょう? 僕ね、帰宅途中で見たことが――」 「煩い」 「えっ、総吾さ……あっ!」  明るく話す閏が気に入らない。内に棲む鬼のことも知らない癖に、『知っている』などといけしゃあしゃあとよく言えたものだ。  閏を見ているとあまりにも自分と正反対すぎて苛立ちばかりが募る。  いい加減勝手に話し続けるその口を閉じて欲しくて総吾は自らの唇で赤い唇を塞いだ。彼の華奢な身体を押し倒すと身ぐるみすべてを剥ぎ取っていく。胸に乗っている飾りを愛撫してやれば、腰が跳ねた。下肢を見下ろせば、総吾よりも少し小振りな彼が主張し、蜜を流し始めている。  総吾は強調し始めている閏を包み、やわやわと扱く。赤い唇は魅惑的な声が放たれた。 「……あ」  閏の蜜を纏った指を後孔に滑り込ませれば、ほんの少し抵抗を見せるものの、身体は昨夜の行為を思い出したのかすぐに侵入を許した。 「総吾さ……」  大きな目に涙が浮かぶ。しかしこれは痛みによるものではないようだ。頬は朱に染まり、総吾に塞がれた唇は悩ましい声を上げて名を呼ぶ。  まるで総吾の全てを受け入れるとでも言うように……。

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