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第三夜(後編・2)

(気に入らない)  彼も総吾と同じように幼くして両親がいない。それでも閏は誰からも愛されている。  純粋で屈託のない明るい性格の何もかもが気に入らない。彼を見れば見るほどに、自分という人間がことごとく闇に染まっているように思えてくる。  総吾はジッパーを下ろし、ボクサーパンツから太腿の間に反り上がった自らの楔を取り出すと、一気にねじ込んだ。太い男根で貫いた彼の後孔は痛みを感じる筈なのに、しかしそれさえも閏は従順に飲み込んでいく。  総吾の楔が肉壁の凝りに触れた。 「っひ、あっ!!」  抽挿を繰り返し、楔の全体を使って執拗に擦り続ける。その度に華奢な腰は浮き沈みを繰り返した。淫らな肉音が二人しかいない室内を覆う。 「ここがいいのか? 昨日が初めてだったんだろう? もう感じるようになったのか?」 「っふ、これ、は、総吾さんだから……あっ、ダメ。なか、そんなに擦らないで!!」 「ダメっていうわりには勃起してるじゃないか? たっぷり中に注いでいっそのこと孕ませてやろうか」  華奢な腰を持ち上げ、ひと息に穿つ。 「あっ、うっ、あっ!」  大きな目から大粒の涙が溢れ、ひとつ、ふたつと零れ落ちる。朱に染まった頬に総吾が唇を寄せれば、閏の身体は弓なりに反れる。 「僕、もう……ああっ!!」  張り詰めた閏の陰茎は勢いよく吐精し、肉壁はこれが最後だと言わんばかりに強く締め付ける。しかし総吾による責めはまだ終わらない。閏を貪り続ける。  二度、三度と抱かれ続けた閏の身体は限界を越えた。大きな目はすっかり閉ざされ、ぐったりと倒れるようにして横になっている。総吾が口にした通り、白濁で満たされた腹部は若干膨らんでいる。後孔からは総吾が注ぎ込んだ蜜が絶えず流れ出ていた。 (俺は何をやってるんだろう。一度ならず二度も抱くなんて――)  それも鬼に意識を乗っ取られていない素の状態で、だ。 「……すまない」  返ってくるはずのない返事に、総吾は罪悪感に胸を痛め、閏の目尻に残る涙をそっと拭い取った。

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