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ugly
顔の傷がどんどん増えて、あるときクラスメートにそのことを尋ねられた。
僕はただ「すこし絡まれただけ」と答えたが、それは信じてもらえなかった。日に日に増えていく痣や新しい切り傷を指摘されると、僕は言い返す言葉も言い訳もなくなって、黙るしかなかった。
仕方がなくなって、実は少しだけ複数人に殴られた、とだけ教えた。強姦されたことなんかは、言わなかった。
彼は僕の肩を掴んで「暴力事件だから警察にいかないとダメだ」と言い始めたが、僕は断った。警察なんか面倒にしか思えないし、行ったところで、これがばれたら余計に殴られるかもしれない。
彼が僕のことを心配してくれてるのはわかった。だけど、心配されても、どうにもなるはずがないのだ。明日、僕はまた男たちに呼ばれている。
警察に行くよりも男たちに従う方が、楽だった。
翌日、呼びつけられた通りあの建物の前へ行き、戸を開けようとした時、大声が聞こえて、僕はひっ捕まえられた。
「だめだってば!」
声は、あのクラスメートのものだと、ちょっとして気づく。
「な、ちょっと考え直そう」
僕は言われるままに引っ張られて、建物はどんどん遠くなった。男に気づかれたかどうかは、わからない。
僕は彼に連れられて喫茶店に入った。
適当な席に座らせられ、彼と向かい合い、問い質される。
「あそこに行ったのはお前の意思なのか?」
僕は頷く。
「お前が望んであそこで暴力受けてるのか?」
「ううん、でも来いって言われたから、行っただけ」
「殴られに?」
僕はまた頷く。
すると、彼がいきなり厳しい表情になって、こう言った。
「お前、今からお前を殺すから来いって言われても行ったのかよ」
「うん」
「ふざけるな、バカじゃないのか」
脅されてるから仕方がなかった。
男の腹に乗せられて下から突き上げられている僕の姿が、拡散されるのは嫌だ。
何も言い返さないでいると、彼は「お前がそういう態度だと、何も助けてやれないよ」と、ちょっと意外なことを言い始めた。僕は助けなんて求めていないのだ。
「お前さ、僕が直面してるのは事件で、その被害者の僕を助けようとしてるみたいだけど、自分こそ解決のカギになる当事者だって思い込んでない?」
僕の方から尋ねると、彼の顔がちょっと赤くなるのが見えた。
「お前関係ないし、僕は呼ばれたら行くし、それでいいじゃん」
関わらないでほしいと、言ったつもりだった。
彼は俯いてしまった。俯いたまま、彼が呟く。
「俺、昔からお前のこと気になってたんだよ、みんなに掃除当番押し付けられても嫌がらないで真面目にやってて、からかわれたり物取られたりしても黙っててさ。でもお前、そういうやつだったんだな、気が弱いのかと思ってたら、そういう性格だったんだな」
「うん」
彼は席を立って出て行ってしまった。お金は、僕の分まで、払ってくれたみたいだった。
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