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ugly
学校には行かないかもしれないけど、様子だけでも見ようと、俺はあいつの家へ向かった。その途中で例の建物の前にたむろしている複数人の男に話しかけられた。
「お前最近愚図といるけど、何?友達?」
「はい、クラスが同じで」
「お前、あんな奴が友達なの?」
「え?」
「アレ、掘られまくってるぞ、いいのか?」
「何ですか?」
「あの愚図、誰とでもヤるんだよ」
ニヤニヤ、男が笑う。
「証拠見る?見ろよこれ、昨日お前が助けた愚図だぜ」
着崩された制服と、涙ぐんだ瞳と、舌から垂れる液。
華奢な体と肌の白さは、あいつに他ならなかった。
「こいつ可愛いからさあ、俺達、こいつをデビューさせようと思ってるんだよ、あいつ金ねえだろ?だから儲けさせるためにも。ま、今すでに1回3千円なんてい低価格でヤりまくってるけどな」
男達は続ける。
「アレが体売ってたら買ってやれよ」
俺の頭は真っ白になる。
僕はきたないから。
その言葉がよぎった。
男達が去っていく。俺はずっと立ち尽くしていた。
その日はあいつの家に、行けなかった。それでも頭から離れることはなかった。誰とでもヤる。今まであいつが受けて来た暴力の正体。
俺は、関わることさえ躊躇われてきた。
翌日、それでも、あいつの様子が気になった。
体を売って金を稼いでる。それは困っているからだ。俺はそう解釈して、あいつの家のインターホンを鳴らす。
制服を着た、ボロボロ顔のあいつが出てきた。大きな紙袋を渡される。
「上着、汚れちゃったから、新しいの買った」
買った。あの時の嫌な言葉が脳裏をよぎる。
「お前のお金で買ったの?」
あいつはちょっとびっくりしたみたいだった。
「お金なかったから、借りた、9千円ので、よかったかな」
かっとした。あんな奴らとして稼いだ金。9千円だから、3回したのか。
俺は気づいた時にはあいつを張り飛ばしていた。
なにが起こったかわからないように、あいつは俺を見上げている。
「そんなもん、いるかよ」
俺は逃げるようにあいつの家から遠ざかる。あいつが体で払ったものなんか、受け取ることはできなかった。俺が受け取ったら、あいつがものでしかなくなる。俺もあの男達と同じになってしまう。
張り飛ばした時の感覚が、手のひらにいつまでも残った。
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