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第2話
その日は疲れて帰り、夕飯を食べテレビを見ながら眠くなってしまった。
5分だけ……テーブルに伏せて目をつぶる。
すぐに意識がボンヤリしてくる。
多分、落ちたのはあっという前。
ガチャガチャ。
…………鍵を開ける音が聞こえる。
今、何時?いつの間にか寝てしまった。
(あれ?電気付いてる……)
上條 の声。
帰ってきたのか……
同室の奴の声がしたけど起き上がれなかった。
でっけー独り言だな。
静かにしてくれ。俺は眠いんだ。
(テレビ付けっぱなしで寝てる。子供だなぁ。)
うるせー。子供扱いすんなよ。
(渋谷。寝顔、可愛い。
まつ毛長いな。髪もサラサラ……)
は……?
(触っちゃおうかな。よく寝てるみたいだし。)
へ?触る?
フワ……
その時、頭に感じた熱。
…………撫でられてる?
(好きだよ。渋谷。)
…………可愛いって俺?
『好き』?
頭を撫でられたら、また意識が遠くなる。
…………変な夢だな。
だって、上條が頭撫でるとか、『可愛い』とか『好き』とか言うはずない。
だって、お前は……
チュンチュン……
鳥の声で目を覚ます。
結局、あのまま寝てしまった。
シャワーを済ませ、下着一枚で冷蔵庫に向かう。お茶を取り出し、一気飲み。やっと目が覚めてきた。
ガチャ
その時、ドアが開いた。
「渋谷。」
「…………はよ。」
(なんで裸なんだよ。)
ん?
(Tシャツ位着ろよ。目のやり場に困るだろ。)
なんで喋ってないのに上條の声が聞こえるんだ……?
「だらしない格好でウロウロすんなよ。」
(渋谷って普段可愛いのに風呂上がりは……)
はぁ……?
「服くらい着ろ。」
(濡れてるの、やらしい……)
「…………」
なんか言いたいのに言葉が出ない。
(なんだ?渋谷、少し顔赤いな。
可愛い。照れてるのか?)
思わず持っていたタオルを落っことす。
拾わずに呆然としてたら上條が拾ってくれた。
(サッサと服着ろよ。細い腰、濡れてる体……
そんなに無防備だと俺、無理……)
「き……!きが、着替えてくる。」
動揺してどもってしまった。
何、今の……
『可愛い』!?
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