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第4話
どうやら、全ての人の心の声が聞こえるわけじゃないらしい。
トン……
女の子とぶつかってしまった。
「あ!ごめんなさい。」
「いや……」
(あ!渋谷くんだ。確か、今日、テニサーって猫耳付けるのよね。すっごい楽しみ!絶対に似合う!)
聞こえた声にビビってしまう。
そう。全部、聞こえるわけじゃない。
俺の事を考えてると聞こえるらしい。
そして離れると聞こえなくなる。
寮からここまでで、それだけは分かった。
(お!朝からラッキー。)
「おっはよー。渋谷。」
呼ばれる前に振り向いた。
…………陽気に寄ってくるのは風間。
ラッキー?
「なぁなぁ。俺のクラスに遊びにきてよ。
午前中なら、俺いるし。」
「……お化け屋敷だっけ。」
(暗闇で転んだ振りして渋谷に抱きついちゃお。少し位触ってもいいよね。お化け屋敷の醍醐味だし!
『風間。俺、怖い……』とか震えながら言ってきたりしたら!?もう手を繋ぐか肩を抱くしかないな!)
し…………知らなかった……!
風間って本物の馬鹿。
別にお化け屋敷なんて怖くねーし!むしろ、お前の頭の中が怖ぇーよ!!
(昨日の猫耳、可愛かったなぁ!でも、他の男も見るのか。また隠れファンが増えそうだ。
そうだ。一緒に回って空き部屋に連れ込もう!
『もっとよく見せて』とか言って?
決めセリフは『俺以外に可愛い姿見せたからお仕置き』。
猫耳付けたまま、ヤリタイ!!最高ーー!
昨日の恥ずかしがってる表情、エロかった……
『だめ』とか言われたら、すげーテンション上がる!
今日こそ既成事実作ってやる。キスしたらどんな顔するかな……意外とやらしくて『もっと』とか言ったり?堪んねー!!)
…………こ、怖っ!
思わず後ろに後ずさる。
隠れファンって何?
だ、だ……誰がエロいって……?
空き部屋……
おし、お仕置きーー!?
『ヤリタイ』!?
既成事実!?キス!?
誰と!?俺と……!?
や……やばい奴だ!風間は正真正銘の変態……
ガチだったのか…………!
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