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第9話

「待てよ!渋谷、ちょっとだけいいじゃん!」 追いかけてくるな。俺はお前の『ちょっと』が怖いんだ。 「逃げるなってば!」 そりゃ逃げるよ。お前、怖すぎだもん! 「渋谷。こっち……」 急に手を引かれた。 空き教室に連れ込んだのは上條だった。 「俺、アイツに見つかりたくない。」 そう言うと上條は顔色も変えず、教卓を指さした。 (風間から逃げてるって事は、付き合ってないのか?) 付き合ってるわけ無いだろ! だから!どうして皆して風間を俺の彼氏にしようとするんだ!  とりあえず教卓の下に隠れる。 「詰めろよ。」 上條まで教卓に入ってこようとして、ビックリした。 「な、なんで、お前まで入ってくるの。」 「俺が見つかったらバレるかもしれないから。」 それはそうだけど…… 何が困るって?静かなはずの空き教室の狭い教卓に二人きり…… (なんか渋谷、良い匂いがするな。 シャンプー?柔軟剤?この匂い、好き。) トン…… 肩がぶつかる。 「あ、ごめん。」 「くっつくなよ!気持ち悪い!」 (つい照れて暴言を吐いてしまった…… ごめん。違うよ。 気持ち悪いなんて思ってない……) 駄々漏れの本心に戸惑ってしまう。 「そ、そろそろ行こう。」 「渋谷。服踏んでる。」 「わ、わわっ!」 ドサッ! どうやら服を踏み、躓いて転んだらしい。 気が付いたら俺は上條の腕の中にいた。

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