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第12話
「んっ……」
う、嘘だろ。舌入ってきた……!
コイツ、キス上手い……
息が止まりそうな長い長いキス。
(好きなんだ。渋谷……お前が好き。)
やらしいキス。体の力が抜ける。
そんなに好き好き言われたら……
…………頭が変になりそう!
ゆっくりと唇が離れる。
(ご……誤魔化せ。俺の気持ちがバレたら、もう一緒の部屋にいられない。)
「…………冗談だよ。からかっただけ。あー。気持ち悪かった。」
上條は下を向いて言ってきた。
(馬鹿野郎!『気持ち悪かった』だなんて。
言い訳出来ない。酷過ぎる!)
上條の焦りと真剣な気持ちが伝わってくる。
(笑うと可愛くて何事にも一生懸命で頑張り屋なお前が好きなんだ。
学生寮の部屋が同じ日になってからずっと……
照れていつも酷いことばかり言ってたけど……
本当は優しく接して一番の親友みたいになって、もっと仲良くなりたかった……)
「渋谷。」
不意に手を握られる。
(覚悟決めろ。『からかった』なんて下手な言い訳で渋谷を傷つける位なら……
さっきの酷い言葉をちゃんと謝って告白して砕け散ってやる。
部屋も誰かに変わってあげよう……)
ちょ、ちょっと待ってくれ!
…………告白!?
そんな……心の準備が……!
「……し……渋谷……俺。」
(お前が好きなんだ。
可愛いな……と思ったら、ついキスしてた。
さっきはごめん。照れて暴言吐いただけ。
伝えなきゃ……誤解を解くためにも。
でも、告白したらもう話せなくなる。
部屋も出ないといけないんだ……
…………もう毎日会えない!)
上條の気持ちが痛いほど伝わってくる。
(男同士。きっと理解なんてされない。
告白したら気持ち悪がられるだろう。
いくら渋谷が優しい性格だって言っても……)
真剣な瞳。今まで、こんなに俺の事、好きだった子いたっけ……
必死な上條、ちょっと可愛い……か、可愛いってなんだよ。それじゃ、まるで……
「俺、渋谷が好きなんだ。だからキスした。
…………俺と付き合って。」
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