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第8話
土曜の仕事は、23時には上がれた。
ロッカーから荷物を出すと、明にメールをした。
『今日、急な飲みの誘いがあったから、遅くなる。先に寝といて。』
送ると電源を切った。
誤って最中に電話が繋がることがないように。
「どこへ招待してくれるの?」
隼斗を見て、微笑む。
「俺んち行きます。」
「そう。おもてなしに期待しちゃうな。」
隼人の後をついて、外へ出た。
家に着くまで、何も話さなかった。
「どうぞ。」
殺風景なワンルームの部屋だった。
入ってすぐに洗たく機とキッチン、奥にはベッドとテーブルとテレビ。
立って部屋を見渡しているとビールを持って、手渡してきた。
隼人は、ベッドサイドに座ると自分の隣に誘った。
缶ビールを開けると、ぐっと一気に飲んでから座った。
「仕事上がりのビールって最高ですよね?」
「そうだね。最高のおもてなしだよ。」
隼人の手が腿を触る。
「本と細いですね。少しの力で折れてしまいそう。」
聞こえないふりをして、ビールを飲み干す。
「僕さ、早く帰らないといけないから、さっさと始めよう。」
缶をテーブルに置くと、服を一枚ずつ脱ぎ捨てていった。
「きれいですね。」
「ありがとう。で、やらせてほしいって言うのは抱かれたいの?それとも抱きたいの?」
隼人の手からビールを取るとテーブルに置いて、隼人の服を脱がせていく。
「もちろん。あなたに挿れたいんですよ。」
「だろうね。じゃあ、僕はねていればいいのかな?」
「そうですね。ただ、逃げられては困るので、手を縛られた状態でねてもらいます。」
隼人は紐を持ってくるとぐるぐると手首を巻いた。
「そういうの嫌いじゃないよ♪きれいな体に傷がつかないように優しく巻いてね。」
隼人は手首を巻くと、ベッドのパイプに結びつけた。
隼人のそれはもうパンパンになっている。
それを見てドン引きする自分がいる。
さっさと終わらせて、明の隣に寝たい。
隼人は恍惚な表情で僕を見下ろす。
「肌もすべすべなんですね。」
胸に指を滑らせながら、乳首を撫でる。
肌に舌を這わせているかと思っていると、急に痛みが走った。
「…っつ!」
「すみません。痛かったですか?」
笑い顔に虫酸が走る。
「傷をつけるのはやめてもらえる?」
隼人はそれでも何度も胸にキスマークをつけた。
馬鹿みたいに噛みやがって。
手首に痕が残らないように気を付けないと。
「っんっ!」
萎えている箇所を口に入れてしゃぶられる。
勃たせたくないのに、体は自然に反応する。
「固くなりましたね。気持ち良かったですか?」
「早く挿れなよ。僕の中は気持ちいいと思うよ♪」
「欲しがりなんですね。じゃあ、ほぐしてあげますね。」
舌で舐められるとぞくぞくとして、体が反応する。
舌を穴に出し入れしながら、棹を擦られる。
「…んぅっ!」
唇を噛んでも声が漏れる。
「喘ぎ声を聞かせて下さい。そうしないと、いつまでも挿れませんよ?」
ふざけやがって。
「この部屋、隣に声が漏れるよね?いいの?」
「隣のやつも喜ぶと思いますよ?」
くすくすと笑いながら、指を奥に差し込んでくる。
「っぁあっ、早く挿れて。」
早くいれやがれ。
穴に力を入れて、煽る。
「すごい。ひくひくしてかわいいですね。」
隼人にキスをされる。
舌を入れられる度に吐きたくなる。
「挿れてあげます。」
隼人のが中にどんどん入ってくる。
胸が苦しい。
早く明に会いたい。
慌てて横を向いたけど、涙がこぼれた。
「泣いてるんですか?かわいい。」
「見ないで。恥ずかしいから。」
こんなやつにこんな姿見られるなんて。
悔しい悔しい悔しい。
もう何も考えない。
早く終われ。早く終われ!
隼人の動きに合わせて喘ぎ声を出して演技をする。
隼人は中に出すと、紐をほどいた。
「シャワー借りるね。」
返事を待たずに浴室に向かう。
シャワーを浴びると胸の傷が痛んだ。
穴に指を入れて、中の精液を掻き出す。
「くそっ、くそっ…。」
お湯と一緒に涙も排水溝に流れていった。
タオルで拭いて廊下に出ると、自分の喘ぎ声が耳に届く。
部屋のドアを開けると、テレビでさっきの情事が流れている。
「ねえ、約束守ってくれるんだよね?スマホ貸して。」
「今、消しますね。」
画面をこちらに見せながら、削除してみせる。
「クラウドも開いて削除して。」
「そうですね。そっちも削除します。」
クラウド画面でも削除してみせた。
「他にはない?」
「ないです。約束は守る達なので。それより、すごくよく撮れてるでしょ?これ、ネットに流したら、レイプされたりして?」
隼人の腿の上に裸のまま座る。
「そうだね。でも、隼人はそんなことしないよ。だって、僕が他の人に触られるの嫌でしょ?」
キスをすると、服を着て部屋を出た。
ーーーーーーー
部屋は真っ暗だった。
静かに上がると浴室に向かう。
隼人の家にあるボディソープは死んでも使いたくなかった。
「はぁ。」
ため息が漏れる。
体を洗っていると足音が近づいてきた。
傷を見られる訳にはいかない。
「ごめんね。起こしちゃった?」
「ううん。遅かったんだね。大丈夫?」
「大丈夫だよ。明日は休みだし。ゆっくり寝てていい?」
「もちろんだよ♪」
扉1枚先にいる明が開けないか、怖い。
「先に寝てて♪すぐ行く。」
「うん。」
足音が離れていくと深く息をついた。
胸の傷が痛くてたまらない。
涙と共に嗚咽が漏れる。
「…っんぅっ…ふっ…ぅう…っ。」
でも、明には聞こえないように声を抑えて泣いた。
浴室から出ると明がホットミルクを入れて、待っていてくれた。
「お疲れ様。」
差し出されたカップの温もりが苦しい。
ソファに並んで座って、ミルクを啜る。
「明日は片付け頑張らないとだね?でも、ゆっくり寝て、昼頃起きちゃおっか?」
明の笑顔が僕を幸せにしてくれる。
「うん。そうする♪」
首にかかっているタオルを取ると明が髪を拭いてくれる。
カップをテーブルに置くと明に抱きついた。
明はまだ髪を拭いてくれている。
その優しくて大きい手が大好きだ。
この温かい胸が大好き。
明の心臓の音を聞いていると、目蓋が重たくなってきて、いつの間にか眠りに落ちた。
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