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第12話

「今日は何して過ごすの?」 朝食を食べながら、探りを入れる。 「何も考えてないなぁ。手の込んだ夕飯作ろっかな?」 舜は箸を咥えて、スマホで料理を検索する。 「これとかどう?」 「美味しそうだね。」 笑う顔がきっとぎこちない。 一緒の休みになる土曜ばかり考えていたけど、今日、僕が仕事に行っている間に休みの舜がどう過ごすのか気になって心が乱れる。 仕事を休んで舜を監禁したい。 もし、あいつに呼び出されたら行くんじゃないだろうか、仕事中の僕に気を使って連絡せずに。 そんなたられば話が頭をもたげる。 舜の話に曖昧に相槌をうちながら、頭の中は妄想に犯されていた。 朝食を終えると、支度をして部屋を出ようとした。 「わっ。」 後ろから舜に抱きしめられて、胸がきゅんとする。 うなじに当たる舜の髪がくすぐったい。 「もう少しだけ。」 舜の腕に力がこもる。 その手を優しく包む。 細い指が、冷たい。 「そろそろ行かないと。」 舜の手をとんとんとノックする。 離された手を握り、舜と向き合うと目と鼻先が赤い。 「うん。行ってらっしゃい。」 ふにゃっと笑う舜が切なくて思わずキスをする。 「行ってきます。」 部屋から出ると雨の臭いがした。 ーーーーーーー 家に帰ると真っ暗で部屋は冷えきっていた。 心臓の音がうるさい。 「舜?」 リビングの電気をつけると今朝舜が見せてくれた料理が一人分だけ並んでいる。 「舜!?」 寝室のドアを勢いよく開ける。 居ないことが分かると鞄からスマホを取り出して電話をかける。 呼び出し音が三度ほど繰り返すと繋がった。 『舜!どこにいる!?』 『実家だよ。』 『何で急に!』 『…ちょっと用事があって。ごめんね、連絡しないで。心配しちゃった?』 くすくすと笑い声が届くと、かっとなった。 『黙って行くなよ!何で勝手に何でも決めるんだよ!何のために一緒に生活してんだよ!何も俺に言わないなら、俺なんか居なくてもいいじゃないか!一人で生活しろよ!!』 終話を押すとスマホを床に投げつけた。 頭を抱えて座り込むと、手が震えた。 「何なんだよ!!」 立ち上がると夕食をダストボックスに投げ入れた。 「くそーっ!!」 キッチンに拳を振り下ろした。 ーーーーーーー 次の日になっても舜は帰ってこなかった。 土曜をどう過ごすのかなんて考えていたバチが当たったのだろう。 スマホの画面はひびで見れなくなった。 昨日の食器を片付けながら、ぼおっとする。 もう何も考えたくなかった。 外の雨がガラスに当たって流れるのをただ目で追った。 ソファに寝っ転がると、真っ白な天井が一面にあるだけだった。 そのうちうとうととして、目を閉じた。 目が覚めると部屋は真っ暗だった。 体が冷えきっている事に気づき、湯を張る。 一日何も食べていないが、食べたい気持ちもわかなかった。 ビールを飲みながら、湯に体を浸す。 目を瞑り、呼吸を聞いて過ごした。 リビングに戻ると、スマホがチカチカと光っている。 でも、画面がぼろぼろで見ようがない。 頭に舜が浮かんだが打ち消した。 新しく開けたばかりのビールを飲む。 「仕事の電話もあり得るよな。」 明日買い換えることだけ決めて、布団に潜り込むと再び夢の世界へと落ちていった。 次の日になっても、気持ちは晴れず、結局スマホはそのままで、月曜日を迎えた。
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