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第13話
金曜日。
仕事用にと職場から営業用の携帯電話を借りたが、それも今日までで返却となった。
仕事終わりの帰り道、携帯ショップに立ち寄って新しい機種を手にして家路についた。
部屋は相変わらず冷えきって、舜の部屋にどうして俺だけが住んでいるのか、この現実が気を重くする。
舜が実家に帰って一週間が経った。
もう、戻ってこないのかもしれない。
考えないようにしているのに、どうしてもその考えが頭をよぎる。
ビールとコンビニのおでんを口にしながら、買ったスマホに電源を入れる。
テーブルに置くと、まもなくバイブが鳴り出した。
でも、着信ではない。
「ショートメール?」
アプリを開くと不在着信が、1件入っていた。
「舜。」
留守番電話サービスに接続して、スピーカーを押す。
『お留守番サービスに接続します。全部で10件です。』
『9月11日 金曜日 午後10時12分』
「10件?…先週?」
『明?どうして出てくれないの?
…ごめんなさい。言い訳になるけど、連絡しようと思ってたよ!でも、さっき帰りついて…。
あのね、実家に帰ったのは、お母さんが入院して、でも、お父さん出張中で、弟達の面倒みないとで…。
ちゃんとメッセージ送っとけば良かった。ごめんなさい。
…ごめんなさい。』
『9月12日 土曜日 午前9時48分』
『明?うちにいる?出ていってないよね?
…っ…ぅっ…っ…。
…早く帰りたいよぉ。』
『9月12日 土曜日 午後6時25分』
『明?少しでいいから、電話に出て。声が聞きたい。』
奥から声が流れてきた。
『兄ちゃ~ん!味噌汁沸騰してるよ!』
『あっ!火、弱めて!…また電話する。』
『9月13日 日曜日 午後0時21分』
『お昼、もう食べた?僕はね、久々のマックだよ♪
お父さん、今日には帰ってくると思うから、明日には帰れると思う。ごめんね。まだ、怒ってる?
…じゃあ、また連絡します。』
『9月13日 日曜日 午後9時13分』
『明?もしかして、具合悪いの?!
大丈夫かな?ねえ、生きてるよね?
どうしよう。』
スリッパの歩く音がする。
『お父さん、僕もう帰りたいんだけど、仕事あるし。』
『もうちょっといてもらえると助かるんだけど、ダメか?お母さんももう少ししたら、退院できると思うし。』
『でも…。』
『9月14日 月曜日 午後10時39分』
『明さん。そろそろ帰ってくる頃かなと思って、電話しました。帰るって言ってたけど、もう少しいないとみたいです。お母さんいないと何も出来ない人たちばかりで。もう、ほんとイライラする!いい大人なんだから、自分達でどうにかして欲しいよ。』
『9月15日 火曜日 午前0時52分』
『…っ…こんな…時間に、かけてごめんね…っ。
…明さんに会いたい…っ。
…ねえ、どうして出てくれないの?…ぅっ。
もう、舜の事、嫌いになったの?…っ。』
『9月16日 水曜日 午前10時47分』
『お母さんの荷物を届けて来ました。まだ、痛いらしくて、退院は週末になるみたい…。
車椅子でも借りて帰って来ればいいと思わない?!
骨折ぐらいで。
もう!早く帰りたい!!』
『9月17日 木曜日 午後11時10分』
『…はぁ。明さん。…もう、うちにはいないのかな?
いないなら、帰っても意味ないなぁ…。
ねえ、いるの?いないの?
明さんこそ、ちゃんと連絡してよ!!
僕だってもう怒るからね!』
扉の開く音。
『兄ちゃん、うるさい。俺、受験生だから。わかってる?』
『ご、ごめん。って、世話してもらっといてよく言うよ!お前達のせいで恋人に逃げられたら一生恨むからな!!』
『へぇ、へえ。好きにして。』
『9月18日 金曜日 午前10時49分』
『帰れるよ!すぐ帰る!飛行機のチケットも取ったし、夜には着くから!うちに居て下さい!!』
『9月18日 金曜日 午後9時02分』
『やっと着いたー♪すぐ帰るからね♪』
『以上です。削除される場合は1を…』
機械音が流れている。
手に持っていたビールをテーブルに置く。
扉の開く音を合図に立ち上がった。
走ってくる足音に胸が高鳴る。
リビングの扉が開くと、舜が入ってきた。
そこから、ゆっくり歩いて来ると、目の前で止まって、服を摘まんで言った。
「まだ、怒ってるの?」
潤んだ子犬のような目で見つめられると、愛しさが溢れる。
髪を撫でると柔らかい感触が指に伝わる。
「怒ってないよ。…ごめん。ひどいこと言って。」
きつく抱き締めると、ふわっと香る舜の匂いにきゅんとする。
「舜は怒ってるよ!何で電話に出ないんだよぉ!」
胸をドンと突き飛ばされて、ソファに尻餅をつく。
口を尖らせた舜が睨んでいる。
「ご、ごめん。あのとき、スマホ壊して…。今日、買い換えてきた。」
舜の両手首を掴んで話す。
「何度も連絡してくれてたのさっき聞いた。本とにごめん。」
舜の片膝が足の間に置かれると、肩をぐっと押されて、ソファの背もたれに押し付けられた。
舜の唇が強く押し当てられる。
激しく舌を動かされて、口の端から唾液が漏れる。
「…んぅっ…ふっ……ぅんっ。」
離れると、舜の濡れた瞳、唇に釘付けになる。
荒く息をつく半開きの口許が艶やかだ。
舜は床に膝を着くと、ベルトをはずし始めた。
その行動をドキドキしながら、見下ろす。
僕のそれはもう固さを増していた。
先を舌で舐めながら、上目遣いで見つめてくる。
呼吸が荒くなる。
唇と舌を這わせられると体がびくっと反応する。
「…はぁ。…はぁ。…舜。…好きだよ。」
舜は口角を上げると、咥えこんだ。
じゅぶじゅぶと音をたてながら、口内を締め付けられると頭の中がとろけてくる。
それだけでも気持ちがいいのに、喉の奥まで咥えこまれると、体が熱にうかされる。
「…ぅうっ。…舜、奥、やばいっ…そんなにされたら…っ。」
喉のねっとりとした肌に触れる度に、すごい快感がなだれてくる。
「…舜、イキそう。」
舜がずるっと、口から僕を離す。
棹の先と、舜の唇に白い糸が光っている。
口から放たれると、寂しさに似た感覚が襲う。
「しゅん~。なんでやめちゃうんだよぉ。」
舜は舌舐めずりすると、にやりと笑う。
「僕、怒ってるから♪」
「お願い。イカせて。ずっとしてないから、苦しい。」
「僕だって苦しいよ♪」
舜は立ち上がると服を脱ぎ始めた。
傷はきれいに治っている。
透き通るような肌に息をのむ。
胸に触れると、しっとりとして温かい。
下を脱ぐと、目の前に舜のそれが物欲しそうに涎を垂らしている。
そっと先に触ると指との間に糸がはる。
「明さん、舐めて。」
見下ろされて、どきんと心臓が跳ねる。
舜がしてくれたそれを思い出しながら、舌を這わせてから、口に含む。
すると、頭を両手で掴まれて、奥まで挿し込まれた。
「んっ!!」
頭をしっかりと抑えられたまま、舜の腰が容赦なく動く。
「んんっ!!」
喉の奥に当たると吐きそうになって、息が苦しい。
歯が当たらないようにするけど、堪らず、口を大きく開いて、横を向いた。
「げほっ、げほっ、げほっ…!」
咳が止まらない。
「明さん、それじゃイケない。」
「…ちょっと待って…げほっ…苦しくて。」
舜が口の中に指を突っ込んできた。
舌を指で撫でられると、気持ちいい。
「ぬるぬるですごく良かったのにぃ。」
指を抜かれると口寂しい。
「わかったよ。ベッドに行って、続きしよう?」
舜は襟を掴むと顔を近づけてきていい放った。
「寝かせないから。」
舜に手を引かれて寝室に行くと、服を脱がされた。
舜は僕を霰もない姿にすると、ベッドに乗り、足を開いて待ち受けている。
「ならして♪」
ベッドに上がると、舜の蕾に舌を這わせる。
ぴちゃぴちゃと音をたてながら、濡らしていく。
穴に舌を出し入れすると舜は気持ち良さそうに足を動かす。
濡れてくると、棹を咥えて、穴に中指をゆっくりと挿し込む。
奥まで挿し込んで、舜の好きなところを指で撫でる。
「…はぁあっ。…気持ちいい。」
背中を反らして感じている。
ローションを指に絡めて、指を増やして徐々に早く出し入れする。
舜のだらしなく力の抜けた手を掴みながら、激しく棹を吸い上げる。
「あっ、…あっ。…気持ちいい…。」
先走り液がどんどん出て唾液と混ざり、舜のそこはたっぷりと濡れている。
その艶っぽい声に煽られる。
「舜、挿入れたい。」
舜は膝裏を抱えるとふにゃ顔で僕を見つめた。
「早くちょうだい。」
宛がうとぬるりと中に入っていく。
背中がぞわぞわっとして、今にもイキそうになるのを必死に堪える。
こんなに気持ち良かったっけ…。
舜の中は僕を覚えているかのようにみっちりと吸い付いてくる。
舜を強く抱き締めながら突き上げると中がきゅうっと絞まる。
「舜、そんなに締め付けないで。」
「やだぁ。…明さんのこと放したくないもん。」
背中に回された手が強く抱き止めてくる。
「舜…ここ舐めさせて。」
かわいい突起を触ると舜の腕がほどけた。
舜のそこはピンク色に染まってとても美味しそうに並んでいる。
舌を這わせると舜の体が跳ねる。
「はぁあっ。…きもちいよぉ。」
舜の濡れた声が煽ってくる。
吸い上げながら、棹も擦ると舜の声は止めどなく溢れた。
「っあぁっ…あっ…んぅうんっ…んっんっ…はぁあっ。」
ずっと聞きたかった舜の鳴き声。
心臓の高鳴りが聞こえてしまいそうだ。
舜の中はうねうねと絡み付き、腰がばかになったように動きが止められない。
「はぁあっ…。舜、イキそう。」
首にしがみつく細い腕に力がはいる。
その声に刺激され、血液がそこに集中していく。
「僕もイキそうだよ…。」
二人は強く抱き締めあい、体をビクビクと震わせた。
荒い息を吐きながら、唇をついばむ。
そこから、果てたそれを抜くとだらりと液が溢れる。
そこをティッシュで拭うと舜は恥ずかしそうに横を向く。
「舜、かわいい。」
頭を撫でなから、首にキスをする。
首にキスをしていると我慢できなくなり、首をきつく吸い上げた。
「明さん…。」
いつもは仕事もあるからと、お互いつけないようにしていたキスマーク。
「舜は俺のものだから。」
1つでは足りずいくつも印を刻んでいく。
舜の白い肌に赤い花が咲き乱れていく。
「明さん、舜のことめちゃくちゃにして。…明さんでいっぱいになりたい。」
キスをすると、腹這いにさせて後ろから突き上げた。
激しく打ち付ける度に舜の喘ぎが部屋にこだます。
舜が幾度となく体を震わせていたが、自分を押さえることが出来なかった。
舜の顔はぐちゃぐちゃになっていた。
涙がぽろぽろと零れる姿も艶っぽく、僕を煽った。
何度もイクと舜の口はだらしなく開いたままになり、喘ぎ声と共に唾液を垂れ流した。
その唾液さえも愛おしく、指で掬いあげては舜の愛液と混ぜてそこをぐちゅぐちゅにしてあげた。
うわ言のように僕の名前を呼ぶ声が耳に心地よく、ずっと何度も言わせておきたかった。
舜のそこから僕の液がこぽこぽと溢れだし、蕾は開きっぱなしになった。
ひくひくと動くそこは熟れた果実のようにどろどろだった。
僕はそれでもまだ舜を求めてやまなかった。
ここが僕のしか受け入れられないようにしたかった。
自分の物も赤く腫れ、今にも切れてしまいそうなぐらいになっていた。
痛みと快感が、襲う。
きっと舜も同じだったと思う。
舜のそこは固いままだけど、白濁した液を吐き出さなくなった。
それでも、波は訪れ、舜の体はその都度激しくはねあがった。
空が白地んで来た頃、舜の体は力を失った。
僕はそれを見届けて、横に倒れこんだ。
舜の体を胸の中に抱き締めて、眠りについた。
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