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第4話

新城に指摘されて瑞希の顔にさっと含羞が走った。 「一見気丈に振る舞っているようにみえて、実はこうやって苛められるのが大好きなマゾヒスト。そうですよね?瑞希。いや、KINGと呼びましょうか?」 嗜虐をたっぷりと含ませた新城の言葉は瑞希のプライドを滅多うちにしてきた。 瑞希が握られた弱味。 それは瑞希自身も知らなかった性癖をこの男に知られてしまった事だった。 きっかけは瑞希が恋慕を抱いていた相手の恋人をクラブに拉致して、新城をけしかけた事から始まった。 今思うとバカな事をしたと思うが、あの時は必死で、とにかく自分が選ばれなかったことの悔しさを相手にぶつけたかったのだ。 当然そんな事をしたって振り向いてはもらえず瑞希はこっぴどくフラれ、相手に殴られた新城はその事をネタにして瑞希に揺さぶりをかけてきた。 半ば無理矢理抱かれた日。 クラブ一のサディストによって瑞希の未開の扉が拓かれた。 それは被虐欲。 つまりマゾヒズムだ。 「ここも苛めてさしあげましょうか」 強制的に開かされた脚の間の奥に潜む窄まりをやんわりと撫でられて、瑞希は思わず息を飲んだ。 そこに触れるな、そう言ってやりたいのに新城の指先が触れるたびに腰の奥から熱い何かが這い上がってきて瑞希の頑なな精神を蝕んでいく。 ツプリ、と差し込まれた指にはいつの間にかジェルが纏わせてありすんなりと入ってしまった。 「ううっ…………あうぅっ…………」 ビリビリとした快楽がそこから全身を駆け抜ける。 覚え込まされた後孔での快楽は瑞希の思考をあっという間に真っ白にした。 「こうして中を弄られながらここを撫で回されるの好きですよね」 新城はそう言うと、大胆に指を抜き挿ししながら握りしめた指をずらし、滴る性器の先端をくちゅくちゅと撫で回してきた。 「ひいいっっ……っくう…………ううっ」 そんな事をされたらひとたまりもない。 無防備に晒され、閉じる事も抵抗する事も敵わない上での淫戯に瑞希は頭を振って悶えた。 「もう………っ……無理………っああっ……い、イかせて…………っ」 ぶちゅぶちゅと下肢から卑猥な音が響き、それが更に瑞希を煽る。 根元を塞き止められているため次から次に襲いくる快楽は下腹部にどんどん溜まっていく一方だ。 ふいに新城の指が瑞希の弱い部分を掠めた。 そこはふっくらと膨らんで密やかに刺激を待ちわびていた。 「ああ、そういえばここも好きでしたね。こんなに膨らんで…もしかして期待してたんですか?」 くつくつと笑いながら揶揄されて羞恥と屈辱で真っ赤になる。 しかし、快楽と嗜虐に弱い肉体は新城の指を嬉しそうに締めつけた。 「いやあっぁ…………ああっ…ああっも、もう………ゆるしてっ……」 本格的に泣きどころを一気に責められて瑞希は啜り泣きながら許しを請った。 体内に留められた快楽は今にも爆発しそうなほど膨らんで、暴れまわっている。 「さて、それじゃあ取り引きをしましょうか」 くちくちと指を動かしながら、新城は酷薄な笑みを浮かべた。 「このままイかせてほしければ、品評会で私のパートナーになる事を約束しなさい」 突然、命令口調になり瑞希は思わず息を飲む。 残酷な取り引きを持ちかけた男は嗜虐を含んだ眼差しで瑞希を見ていた。 切り裂くような目元の奥に潜むのは興奮と恍惚を交えた獣のような瞳だ。 こんなのは取り引きじゃない、脅しだ。 悔しくて屈辱的でたまらないのに、男に虐げられて昂る自分が勝ってしまった。 抗えないのだ。 どうやったってこの男には。 男は満足げに微笑むと、戒めていた指をゆっくりと解放する。 「はひぃ・・・っつあぁぁ、あぁぁ、あぁぁんっ」 一気に精路に集まってくる熱に翻弄されて、瑞希は自由にならない身体をビクビクとさせながら高みへと引っ張られていく。 そうして瑞希は扉に磔にされたまま、新城の手戯によって何度も極めてしまったのだった。

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